筆跡鑑定で性格はわからない!断言できる2つの理由と選び方を解説
筆跡鑑定で性格はわかりません。しかし、中には筆跡心理学を謳って性格診断やパーソナリティ診断をおこなう筆跡鑑定人(筆跡鑑定士)筆跡鑑定士も存在します。
本記事では筆跡鑑定で性格がわからない理由を2つ紹介し、彼らが人々を信じ込ませるために用いる技術や正しい筆跡鑑定機関の選び方を解説します。
筆跡鑑定で性格はわからない!
筆跡鑑定で性格がわからない理由は主に2つあります。
- 筆跡鑑定と性格に科学的な因果関係はない
- 筆跡鑑定による性格診断はビジネスの要素が強い
筆跡鑑定と性格に科学的な因果関係はない
筆跡鑑定は、筆者の文字の特徴を数値解析や多変量解析を用いて科学的に評価し科学的根拠に基づき筆者を識別します。この「科学的根拠に基づき」というのは、専門家の集まる学会での研究発表や学会誌への研究投稿などによって多くに専門家の評価や指摘を受けることで信憑性が高まります。
筆跡鑑定は科捜研・科警研を中心に研究が行われ、多くの研究論文や研究発表があることから非常に信頼性があることがわかります。
一般的に性格診断で広く認知されているものにSPIや玉手箱などがありますが、これらの性格診断テストの結果と筆跡の因果関係を認めた研究発表はほとんど存在しません。
筆跡鑑定による性格診断はビジネスの要素が強い
科学的な因果関係がないにもかかわらず、性格診断を実施している筆跡鑑定士がいるのも事実です。その理由の一つが、性格診断には心理学や統計学などの専門的な知識や科学的な機器が不要であるため、比較的簡単にビジネスにできるからです。
筆跡を用いた性格診断を信じるか信じないかは人それぞれですが、鵜呑みにしすぎるのはおすすめできません。
筆跡鑑定の性格診断でよく用いられる技術
中には「筆跡鑑定の性格診断は当たる」と感じる方もいるでしょう。それは技術を用いて「当たっているように見せかけているだけ」という可能性があります。
ここでは筆跡鑑定の性格診断でよく用いられる技術を2つ紹介します。
- バーナム効果
- コールド・リーディング
バーナム効果
人間には、自分に合った結果を求める傾向があります。一般的で漠然とした性格的特徴を示唆するような診断結果を提示されると、それを自分に当てはめてしまうのです。
例えば「優しくて人から好かれるタイプ」と言われた場合、多くの人はそれが自分に当てはまると感じます。しかし、これは誰に対しても言えることです。もし自分に対して「優しくて人から好かれるタイプ」と思っていなくても、占い師などから伝えられることで「本当はそうなのかも」と感じてしまう場合もあるでしょう。
筆跡鑑定による性格診断も、このバーナム効果を利用するケースが多いです。
コールド・リーディング
コールド・リーディングとは、見た目や雰囲気などから読み取れる情報を伝えているだけであるにも関わらず、さも「自分に特別な能力がある」と思い込ませる話術のことです。
例えば、占い師はよく「あなたには何か悩みがあるようですね」と語りかけますが、悩み事がなければそもそも占いを利用しようとは思わないでしょう。このように、誰にでもわかるようなことをあたかも相手の心を読み取ったかのように話す技術をコールド・リーディングと呼びます。
筆跡鑑定の性格診断で「わかる」といわれていること
筆跡鑑定の性格診断では、バーナム効果やコールド・リーディングを使って以下の点が「読み取れる」とされています。
- 筆圧で基本的性格がわかる
- 文字の癖で内面がわかる
- 細部を見れば深層心理がわかる
しかし、これらに科学的根拠はないため注意してください。
筆圧で基本的性格がわかる
「筆圧で基本的性格がわかる」という主張は、筆圧が重い人は力強くて自己主張が強い一方、筆圧が軽い人は慎重で仲間意識が強い傾向があるとされています。
しかし、筆圧は人によって異なるため、正確な性格診断をおこなうには十分な根拠となりません。また、書く際の手の状態やペンの種類などによっても変化するため、信頼性が低く、正確な診断結果を得ることはできないといえるでしょう。
文字の癖で内面がわかる
性格診断する筆跡鑑定士の中には、文字の形や筆跡、書き方などから、その人の内面的な特徴や性格がわかると断言する方もいます。
例えば、文字の形や筆跡が整っている人は「几帳面で秩序を重んじる性格である」とされることが多いです。対して、書き方が乱れている人は「自由奔放に生きる性格である」と判断します。字が「右上がり」であれば「志が高い」などといわれることもあります。
ただ、文字の癖は、あくまで幼少期からの「慣れ」に過ぎません。したがって、こちらも科学的根拠はないといえるでしょう。
細部を見れば深層心理がわかる
文字の中に含まれる細かなパターンや特徴を観察することによって、深層心理を推測できると豪語する筆跡鑑定士もいます。
他と同じように、字は幼少期の慣れによるものであるため、性格を表す客観的な根拠にはなりえません。したがって、信頼性に乏しいものであるといえます。
【性格診断はNG】筆跡鑑定人を選ぶポイント
性格診断をおこなっている筆跡鑑定人(筆跡鑑定士)はおすすめできません。科学的根拠に基づく筆跡鑑定を期待する場合、以下4つのポイントで鑑定士を選びましょう。
- 科学的根拠に基づいて鑑定しているか
- 理論が学会に論文として発表されているか
- 数値や確率の論理的根拠を示しているか
- 学会などで受け入れられているか
科学的根拠に基づいて鑑定しているか
まず、「科学的根拠に基づいて鑑定しているかどうか」という点が非常に大切です。科学的根拠に基づいた筆跡鑑定は、統計学的な手法や科学的な理論を用いて鑑定します。
反対に、独自の主観的見解に基づいて鑑定する筆跡鑑定人はおすすめできません。主観的見解では科学的根拠に乏しく、裁判資料として提出したとしても証拠能力が低いということで認められない場合があります。また、相手側から対抗する筆跡鑑定書が出てきて逆効果になる場合も多々あります。
理論が学会に論文として発表されているか
筆跡鑑定人を選ぶ基準の一つは、学会で研究論文として発表された理論を用いていること。かつその研究論文に名を連ねている鑑定人であることです。学会は権威のある研究者や専門家の審査(ピアレビュー)をおこなうため、信頼性が高いからです。
第三者に理論を審査してもらっていない独自の手法を用いる鑑定人は、客観的な根拠が乏しいといえるでしょう。
数値や確率の論理的根拠を示しているか
筆跡鑑定人が数値や確率を出す場合、その数値や確率に論理的な根拠があること、その科学的・論理的根拠が示されていることが重要です。性格診断を例に挙げるなら、筆跡が特定の性格傾向と関連があると伝える場合、その関連性を科学的に検証したデータや統計分析の結果を示さなければなりません。
理論的に根拠がない数値や確率は単なる主観的な判断に過ぎず、信頼性に欠けます。そのため、筆跡鑑定人を選ぶ際には「鑑定に論理的根拠があるかどうか」を確認しましょう。
学会などで受け入れられているか
筆跡鑑定はDNA鑑定などに比べて科学的な根拠を揃えにくいため、信頼性の高い筆跡鑑定人を選ぶことが重要です。その一つのポイントとして「学会などで受け入れられているか」という点が挙げられます。
学会はその分野における専門家の集まりであり、研究成果や理論的なアプローチを評価する場です。したがって、学会に加入している筆跡鑑定人は専門的な知識や技術を認められているといえるでしょう。
高精度の筆跡鑑定なら法科学鑑定研究所
性格診断ではなく、裁判などで筆跡鑑定が必要な場合、筆跡鑑定機関選びが重要です。今まで説明してきたとおり筆跡鑑定は鑑人によって結果が異なる可能性もあるため、「どれだけ科学的根拠に基づいて鑑定しているか」が重要です。
ここでは法科学鑑定研究所を選ぶポイントや費用、依頼の流れを紹介します。
法科学鑑定研究所が選ばれる理由
法科学鑑定研究所の筆跡鑑定をおすすめする理由は3つあります。
- 最新の技術や機器を駆使し、科学的手法を用いて解析する
- 日本応用心理学会などの学会に所属している
- 刑事事件・民事事件ともに筆跡鑑定の実績が多い
最新の技術や機器を駆使し、科学的手法を用いて解析する
法科学鑑定研究所の筆跡鑑定は最新の技術や機器を駆使し、科学的手法によって解析をおこないます。
同所に所属する筆跡鑑定人は科学捜査研究所(科捜研)出身で、筆跡鑑定の基礎を学び、数多くの現場で実務経験を積んだエキスパートたちばかりです。
日本応用心理学会などの学会に所属している
当社は日本応用心理学会や日本法科学技術学会などの学会に所属する鑑定機関です。専門知識や技術を習得し、研究を深めることで業務の質を高めています。
また、年々進歩する研究分野に合わせ、積極的に研究論文を発表し、知見を広めることで業界に貢献しています。
民事事件における筆跡鑑定の実績が多い
当社は科学的で客観的な手法を用いた筆跡鑑定を行っていることから、その鑑定手法やそこから得られる精度の高い鑑定結果について高い評価を受け、裁判所や官庁からの依頼も数多く依頼を受けています。刑事事件の筆跡鑑定を受任できる民間の鑑定機関は非常に少なく、そのことからも信頼の高さ・実績が豊富であると言えます。
過去5年間における累計受任件数は約400件以上であり、相談件数は3,000件以上にも上るほどです。
筆跡鑑定の費用
主な費用は以下のとおりです。
- 検査回答:220,000~円(税込)
- 鑑定書:330,000~円(税込)
まず、事前に電話やメール、または来社による相談をご利用ください。来社される場合、30分あたり5,500円の相談費用が必要になります。
まずは検査回答を実施し、鑑定結果を求めます。その後、裁判資料として利用したい場合は鑑定書作成をお申込いただきます。検査回答書はあくまで回答書に過ぎず、裁判では証拠品としてみなされない可能性が高いです。裁判所に提出する場合、鑑定書作成をおすすめします。
筆跡鑑定の流れ
筆跡鑑定の流れは以下のとおりです。
1.無料相談
まずはメールや電話での無料相談をご利用ください。現在の係争の状況や資料の準備状況などをお伺いし、当社の筆跡鑑定について基本的な内容をご説明いたします。
2.鑑定の可否と見積
その後、鑑定資料のスキャンデータや写しなどを送付していただき、鑑定資料を確認した上で鑑定の可否と御見積をご案内します。
3.検査回答(鑑定の実施)
鑑定を実施し、鑑定結果を求めます。ご報告は非裁判資料である検査回答書でご報告いたします。
4.鑑定書
裁判資料である鑑定書を作成します。
筆跡鑑定と性格診断に関するよくある質問
筆跡鑑定と性格診断に関するよくある質問をまとめました。ここで回答するのは以下の2つです。
- 筆圧が濃い人の性格は?
- 字を大きく書く人の性格は?
筆圧が濃い人の性格は?
筆圧が濃い人は力強くエネルギッシュであるとされています。しかし、筆圧は個人の性格と科学的な因果関係がいっさいありません。したがって、筆圧が濃くても繊細だったり、反対に筆圧が薄くてもパワフルだったりするケースもあります。
字を大きく書く人の性格は?
字を大きく書く人の性格は自由奔放で「世界に羽ばたきたい」と考えている傾向にあるとされています。しかし、こちらも科学的な根拠はありません。
字の大きさと性格には科学的な根拠がないため、あくまで傾向として考えるべきです。また、字の大きさや筆跡は環境や気分などによって変化することもあります。そのため、字の大きさだけで人の性格を判断することは適切ではありません。