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DNA鑑定の方法・やり方・仕組みについて

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DNA鑑定の方法・やり方・仕組みについて

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ヒトゲノムの塩基配列には個体差があります。それらを簡単に識別する「さまざまな方法」があります。

親子(血縁)鑑定はマイクロサテライトマーカーによる識別法が主として用いられます。
未婚の母による子の父親認知請求や相続問題での親子認知事件など逃れようのない正確さで解決できるのです

当サイトでは、代表的な DNA 鑑定法「STR法」 「MLP法」 「SLP法」 「ミトコンドリア法」 「Y染色体STR法」の5つの検査方法を説明いたします。

STR法(STR=Short Tandem Repeat)

DNA

DNA の中には、ある DNA 配列が一つの単位となり、それが直列に、繰り返し繰り返し、並んでいる領域がたくさん存在しています。

遺伝子の特定領域(遺伝子座)の中にいおいて、数塩基~10塩基未満の短い DNA
の繰り返し領域の「反復数」をショートタンデムリピート(短鎖縦列反復配列、STRs)と呼びます。ヒトの遺伝子座に見られる反復単位の「反復数」には違いがあります。子供はこの「反復数」を「生物学的母親」と「生物学的父親」から「確実」に受け継ぎます。

このSTRの違いを調べ、親子関係や個人識別を認定する方法です。分析方法はポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)を利用します。PCRは、個人の DNA の特定領域
(1000塩基程度までの長さ)を10万~100万倍に増幅し、分析することが出来るのです。
純粋な DNA 断片が大量に得られるので分析が容易になります。このPCRにより微量の試料からの分析も可能となり、高い精度の結果が得られるのです。

STR法の最大のメリットとは

検査結果が「数値」で客観的に解析出来ること
これは、型判定の読み込みは検査者の目視確認ではなく、解析ソフトの数値判定であり、最も公平な客観的検査法と言い換えられます。
もう一つは、低コストであること。
さらに、検査時間が短いこと。
キット化された試薬と自動化された解析装置で安定的な解析が可能になりました。そのため、FBIが犯罪捜査のためのDNAデータベースCODISシステムを作るうえで利点があるとして、採用されています。

血痕

血痕
ポジティブ・コントロール

ポジティブ・コントロール
アレリックラダー

アレリックラダー

ABI GeneMapper ID v3.2

STR法の分析はエレクトロフェログラムに反復数ピークが現れます。
STR法によるDNA型鑑定とは得られた数々の分析データを総合成績評価し、解析・判定が行われます。

客観的で公平な解析ソフトの数値解析であったとしても「100%の客観性」とは「100%の正確性」ではありません。
解析装置や試薬には個体差やクセも存在します。また、規格された検査法ですから、中には適さない方もいらっしゃいます。
同一試料なのに操作設定を僅かに調整しただけで、全く違う結果になることも・・。

解析装置が表示する結果が「 DNA 型」として、妥当であるか否かの判断である「正確性」は、依然人間の判断に依存しているのです。ですから、多くの生化学・医学的事象をふまえ、解析・鑑定が行われるのです

弁護士さんの中には、このグラフが結果だと勘違いしてる方がいらっしゃいます。(これはただのチャート表・・ノイズかピークか判定する分析過程のたった一つです)警察ではDNA鑑定のDVDを作成し各裁判所に提出、裁判官は皆さん知ってます。

MLP法(MLP=Multi Locus Probe)

MLP法
1985年、英国・ジェフリーズ博士の発表した「 DNA 指紋法」の検査方法です。現在行われている DNA 鑑定法の礎を築きました。

染色体 DNA
中に多数存在している高多型領域であるミニサテライト(VNTR)の複数を同時に検出するため、各ミニサテライトのバンドがバーコードのように多数、観察されます。(DNA指紋法/DNAバーコード法/フィンガープリント法=と呼ばれている方法です)
各バンドはそれぞれメンデルの法則にしたがって両親から子に遺伝しているので、子に観察されるバンドのうち、母と一致するバンドを差し引いた残りのバンドが子の父由来のバンドとなります。

そして子の父由来のバンドが、擬父と一致するか否かを解析することにより、父子関係の存否を推定します。
MLP法では人種や民族に関係なく利用出来るため、データベースが構築されていない人種、民族の被検者を対象とした検査にも対応できます。
しかし、このMLP法は問題点も多く
「正確な頻度の計算が難しい」
「再現性が乏しい」
「どの程度まで誤差の範囲としてよいかの判断が難しい」
などが指摘されています。

また、このMLP法による検出は数値化が難しく基本的に、2つの分析結果資料を並べて、一致・不一致の判定を専門技術者が行わなくてはなりません。

SLP法(SLP=Single Locus Probe)

1978年、東京大学医科学研究所・中村祐輔先生が「サイエンス誌」に発表されたVNTRに関する論文がきっかけとなりDNA多型・個人識別に発展した試験方法です。
MLPがDNAの多くのローカスの情報を一度に読むのに対して一箇所のローカスの情報のみを読む手法がSLP法です。

遺伝子の特定領域の数塩基から数十塩基の配列が繰り返し並ぶミニサテライトの1箇所を検出し、精査する方法です
人には通常2つの対立遺伝子があり、一方は母親から、もう一方を父親から受け継ぎます。SLPは人の染色体に存在します。

このSLPを分析し、対立遺伝子の違いを検査します。通常の場合、SLPはアレルが20~30に設定されることが多くSTRは5~10ですから、識別能力が高い検査方法と言えます。
確立の上がりにくい同胞鑑定(兄弟など)や第2血縁関係(叔父甥)などの鑑定に大きな威力を発揮します

MLPやSLPの識別能力が高にも関わらず限定的にしか用いられないのはアレルの決定の難しさ故の「高額な検査法」であること、一致・不一致の判定には熟練技術を要する「高額な人件費」が掛かるためです。

さらに、分析には人の判断による、ところが大きく客観的な判定には疑問が残ると判断する裁判官もいるからです。ですから、STR法と併用されるケースがほとんどなのです。

ミトコンドリアDNA(mtDNA)

一つの細胞の中には2種類のDNA物質が存在します。一つは核細胞の中にある2重螺旋状のDNA(1セット)、もう一つは核細胞の外側に大量にいるミトコンドリアDNA(mtDNA)。
このミトコンドリアDNAは細胞の中でエネルギーを作りだす仕事をしています。1つのミトコンドリアDNAの中にも複数のミトコンドリアDNAが存在する事から核内DNAが1細胞中1対であることに対し、ミトコンドリアDNAは数百個(約500個=各細胞により変化します)、存在していることになります。

ミトコンドリア

順番に解いていくと、輪状に展開できます

ミトコンドリア

mtDNA lang

ミトコンドリDNAの最大利点は次の3点です
1) 塩基列差が大きく個人識別が容易に可能。
2) DNAサイズが小さい為生存率が高い。(つまり丈夫なDNAといえます)
3) 細胞あたりのミトコンドリア量が多いため、回収されるDNAが多い

人のミトコンドリアDNAは多型領域が存在しミトコンドリア遺伝子は母系遺伝することから母子鑑定に極めて有効な手段となります。
たとえば母親の直系家族(祖母・姉妹・娘)の協力が得られれば、母が不在の場合でも、母子関係を証明することが可能となります。

その理由は、精子(父)と卵子(母)の関係にあります。

精子と卵子

ミトコンドリアが存在する尻尾の部分は、受精と同時に切り離され父親のミトコンドリアは、受精卵に入れないので子孫には伝わらないのです。
簡単に言えば、「母系血統書=ミトコンドリアDNA」と言えます。

mtDNA

mtDNA継承図

赤の方は、同じミトコンドリアDNA(mtDNA)を持っています。遠縁の血族もこの検査法で完璧に証明できてしまいます。中国残留孤児認定などに頻繁に登場する鑑定法ですね。
※現在、ミトコンドリアDNA検査はお受けしておりません。

Y染色体STR法(Y-STR)

では、父系血族を調べるには?
男性のみ有している「Y染色体」のDNAを調べれば男子系統血族を証明できます。

ヒトの持つ染色体のなかに、性染色体が存在します。この性染色体は、Amelogenin(アメロゲニン)という遺伝子座で対立遺伝子として見ることが出来ます。女性はX,X、男性はX,Yという組み合わせを持っています。
男性だけ継承されるY染色体のDNAを調べれば父系統血縁関係が証明できるのです。

父親が不在の場合でも父親の直系家族(祖父・兄弟・叔父)などが健在ならば、父親のY染色体上のDNA情報を、容易に調べることが可能となります。
死後認知などの場合でも亡父の息子の協力が得られれば、認知請求者とY染色体のDNAを解析することで容易に鑑定が可能となります。

Y-STR

Y-染色体継承図

青の方は同じY染色体を持っています。
Y染色体マーカー(Y-STR)では男性の場合に限り1個人あたり1アレルしか存在しないので、各マーカーからの遺伝子情報は遺伝子型ではなくハプロタイプと呼ばれています。Y染色体マーカー(Y-STR)は、同じ染色体上に存在しており、各世代間で組み替えが生じないので、偶然一致率の統計計算の積の法則には従いません。

この事から、Y染色体マーカー(Y-STR)は個人識別や血縁関係を決定的に判定することは常染色体マーカー(STR)のほど有効ではありません。

そのため、兄弟鑑定や叔父と甥、祖父と孫の血縁鑑定の場合は、常染色体マーカー(STR)とY染色体マーカー(Y-STR)を併用し血縁判定のDNA型鑑定が実施されるのです。
受精のときに精子から卵子に送り込まれるのはDNAの入った核だけなのです

DNA鑑定 – 学術研究論文

DNA鑑定に関して、以下の研究論文および学会発表を行っています。

発表年題 目
2022年【日本法科学技術学会-法生物】
cfDNA断片長解析による妊娠中DNA親子鑑定の精度への影響
2022年【日本法科学技術学会-法生物】
外国人集団を対象としたアレル出現頻度の算出
2021年【日本法科学技術学会-法生物】
妊娠中の母体血中胎児DNAを用いた父子鑑定の検討
2019年【日本法科学技術学会-法生物】
PowerPlex® Y23
Systemの検出限界と男女混合DNAのSTR型
2018年【日本法科学技術学会-法生物】
親子鑑定における孤立否定
2017年【日本法科学技術学会-法生物】
親子鑑定における孤立否定とローカス数の影響
2016年【日本法科学技術学会-法生物】
DNAコンタミネーション除去試薬の比較・検討

※日本法科学技術学会:科警研・科捜研・鑑識が中心となって1995年に設立された、日本有数の権威ある学会です。前身は日本鑑識科学技術学会、会員は約1600人、入会には評議員2名による推薦が必要です。

指針/ガイドライン

 わたしたち法科学鑑定研究所では、「経済産業省 個人遺伝情報保護ガイドライン」「三省共同 ヒトゲノム・遺伝子解析研究に関する倫理指針」「日本法医学会指針」「日本DNA多型学会指針」を遵守し、 厳密な個人情報保護および品質管理の基で DNA鑑定 / 遺伝子検査
を実施いたしております。わたしたちは、裁判所・警察・医療機関から信頼され嘱託される日本のDNA検査機関です。ご安心下さい!

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