Traffic Accident

EDR (イベント データ レコーダー) 解析|法科学鑑定研究所

EDR(イベントデータレコーダー)解析

 法科学鑑定研究所は、EDR のデータ取得・解析資格を有するCDRアナリスト、豊富な経験を積んだ交通事故鑑定人、ドライブレコーダーなど映像解析チームのエキスパートによる多角的なアプローチで最高水準の交通事故調査・鑑定を裁判証拠レベルで行うことが可能な総合鑑定会社です。

交通事故鑑定におけるEDR解析とは

 交通事故鑑定におけるEDR(イベントデータレコーダー)解析は、交通事故の原因や結果を明らかにするためにEDRデータを調査・分析する工程を指します。

 EDRは、車両に搭載されており、事故やイベントの際に発生したデータを記録する装置です。EDRは速度、ブレーキの使用、エンジンの回転数、衝撃の強さなど、さまざまなパラメーターを記録することができます。これらのデータは、交通事故の発生状況や車両の挙動を解析し、事故の再構築や関与要因の特定に役立ちます。

 交通事故鑑定におけるEDR解析では、まず事故現場や関与車両のEDRデータが収集されます。その後、CDRアナリストや交通事故鑑定人がEDRデータを解読し、分析を行います。解析の過程では、事故発生時の速度や加速度、ブレーキの使用状態、エアバッグの展開時期などの情報を詳細に検証します。

 EDR解析の結果は、事故の再現やシミュレーションに活用され、事故の原因や責任の所在を特定する上で重要な証拠となります。速度やブレーキの使用状態などのデータは、事故のダイナミクスを明らかにし、事故の経緯や関与者の行動パターンを理解するのに役立ちます。

 交通事故鑑定におけるEDR解析は、法的な調査や裁判において重要な役割を果たします。正確なデータと分析結果に基づいて、事故の真相を明らかにすることで、被害者や関係者への公正な対応や適切な賠償措置を行うことが可能となります。

EDR (イベントデータレコーダー)でわかること

 航空機事故ニュースに登場する原因解明のため、ボイスレコーダーとフライトレコーダー(別名アクシデントデータレコーダー)の入ったブラックボックスが回収され事故原因が解析されます。

EDR(イベント・データ・レコーダー)の機能は、この航空機のフライトレコーダーと同じ機能があると考えればわかりやすいと思います。

EDR (イベント データ レコーダー) 解析

 

法科学鑑定研究所が行うEDR(イベントデータレコーダー)解析により、以下のようなことがわかります。

1)事故発生瞬間の車両の状態
ブレーキの状態、ステアリングの向き、エアバッグの展開状況、シートベルトの着用状況などが記録されています。

2)事故直前の車両の状態
速度や加速度、エンジン回転数、アクセルペダルの位置、ブレーキペダルの位置などが記録されています。

3)事故後の車両の状態
車両の速度やエンジン回転数、ブレーキやアクセルのペダルの状態、エアバッグの展開状況、シートベルトの着用状況、ドアの開閉状況、トランクの開閉状況などが記録されています。

これらの情報から、事故の原因や経緯、被害者の主張の裏付けなどを解析することができます。

実際の事件での EDR の活用例(1)

 ある交通事故の訴訟で、被告側は「急ブレーキを踏んだために後続車に追突された」と主張していました。しかし、原告側は被告側が急に車線変更をしたことが原因であると主張していました。

 このような状況で、法科学鑑定研究所の鑑定人はEDRを解析することで、事故の真相を明らかにすることができました。EDRの解析結果から、被告側の車両が急激に車線変更を行ったことが確認されました。このため、被告側が原因であることが明らかになり、原告側が勝訴することができました。

 このように、EDRの解析は、交通事故の真相を明らかにし、訴訟の判断材料となる重要な役割を果たしています。

実際の事件での EDR の活用例(2)

 法科学鑑定研究所では、最近発生した交通事故に関するEDR解析を行いました。EDRから取得されたデータを詳細に調査し、事故の速度について重要な情報を得ることができました。

 解析の結果、事故発生時において、車両の速度はおおよそ時速95Kmであったことが明らかになりました。この速度は、制限速度を大幅に上回っていることを示しています。

 EDRのデータからは、事故直前に急激な減速が記録されており、これによって車両が衝突したことが示唆されました。この情報は、ドライバーの操作やブレーキの使用に関する重要な洞察を提供し、事故の再構築と責任の特定に役立ちました。

 事故の速度に関するEDR解析は、交通事故の原因や結果を明らかにする上で重要な手法です。これにより、被害者や関係者への正確な情報提供や、適切な法的手段の取り組みが可能となります。

EDR (イベント・データ・レコーダー)はどんな車に付いている

 2000年頃から EDR を活用した事故調査がアメリカで広く普及しました。現在のアメリカの新車の90%以上がボッシュ(株)のCDRでEDR内のデータの読み出しが出来ます。既にアメリカの交通事故の多くはEDRを中心とした交通事故調査、鑑定を行っており、多くの判例もございます。

 国連WP29の会議において、2022年7月に全世界共通の国連法規としてEDR搭載の義務化に動きました。2022年7月からヨーロッパ、日本で販売される新型車には EDR の搭載が義務化されます。

EDR データ取得・解析レポート

 EDR (イベント・データ・レコーダー)とは、エアバッグが作動するレベルの交通事故が発生した際に、事故直前の約5秒間と衝突直後の約0.15秒間(メーカや車種により差違があります)について、車両速度の他、ハンドル操作、アクセル操作、ブレーキ操作などの運転情報を時系列で記録する装置のことをいいます。

 記録時間が短いと思われるかもしれませんが、記録される情報量が非常に多いため、事故解析には有用です。

EDR の記録イメージ

 EDR非搭載車の交通事故については、ドライブレコーダー映像の解析と、従来の交通事故鑑定手法によって事故調査を行う必要がありますが、EDR搭載車の交通事故については、EDRデータの解析による事故調査が中心になることが確実です。

 但し、事故発生時の運転情報がEDRに記録されるのは車両が強い衝撃を検知した時であり(エアバッグの作動が要件ではなく衝撃の程度による※1)、軽度な衝突事故についてはEDRに記録されない場合もあるため、EDR搭載車に対する事故調査では、事故発生時のデータがEDRに記録されているかどうかの解析を行い、記録がある場合と記録がない場合の両方に対応できる事故調査能力が必要であるといえます。

CDRアナリストと交通事故鑑定人が在籍

 当社は、EDR のデータ取得・解析資格を有するCDRアナリスト※2)、経験豊富な交通事故鑑定人、ドライブレコーダーなどの映像解析チームによる多角的なアプローチで交通事故の調査・鑑定を裁判証拠レベルで行うことが可能な総合鑑定会社です。

※1)  事故発生時の運転情報がEDRに記録されるかどうかは、車種、衝撃の程度、衝突角度などによって異なります。

※2)  EDR のデータ取得と解析を行う者は、高度なスキルと中立性が求められることから、CDRアナリストのライセンスが必要です。

EDR解析の費用

検査項目(1) 内 容 費 用
①EDR データの取得と
衝突データの記録有無解析
EDR からデータを取得し、
目的の衝突データが記録されているかどうかの確認を行います。
税別100,000円
税込110,000

※ データを引き出す車両がクラッシュなどでダメージが大きい場合は、整備工場(整備士)などでEDRを取り出し、電源供給まで行って頂きます。(別途費用が必要な場合もあります)

※出張費・交通費等(別途)
※目的の衝突データの記録有無を簡易レポートで報告します。

 

検査項目(2) 内 容 費 用
②EDR 衝突データ
解析レポート
EDR に記録されている
衝突データの解析レポートを作成して提出します。
基本料金 ※3)
税別500,000円
税込550,000

※3) 標準的なデータ量の場合:EDRのデータ量が標準以上の場合、追加の解析費用が必要となります。(事前お見積りいたします)

※解析レポートを証拠資料として運用希望の場合はご相談ください。(別途有償)
※交通事故鑑定人による鑑定書作成にも対応いたします。(別途有償)

 

EDR解析の費用について

 EDR解析の費用については、お客様が任意保険に弁護士費用特約を加入している場合、大幅に費用面の不安が解消されます。この特約により、EDR解析を含む交通事故鑑定の費用が保険会社によってカバーされることになります。

 ただし、具体的な保険契約の内容によって異なる場合がありますので、保険会社にご確認いただくことをおすすめします。もし弁護士費用特約が適用される場合は、EDR解析に関する費用面の不安を軽減することができます。

 なお、EDR解析以外の交通事故鑑定についても、法科学鑑定研究所ではお気軽にご相談いただけます。交通事故鑑定には、車両や道路状況の調査、目撃証言の分析、物的証拠の検証など、さまざまな要素が含まれます。私たちは経験豊かな専門家がおり、最新の技術や手法を駆使して、事故の真相解明に努めます

交通事故鑑定においてEDR解析を検討されている方へ

 交通事故鑑定においてEDR解析を検討されている方は、ぜひ法科学鑑定研究所にお問い合わせください。当研究所は、高度な解析技術と豊富な経験を持つ専門家が、最新のツールや方法を駆使してEDRデータの解析を行います。

 私たちは、公正かつ客観的な立場から、事故の真相を明らかにすることに注力しています。被害者や関係者に対して適切な情報提供や法的対応を行うために、EDR解析を通じて信頼性の高い証拠を提供します。

 また、EDR解析だけでなく、ドライブレコーダー映像解析や医療鑑定などのトータルな鑑定サービスも提供しております。私たちは、専門知識と経験を活かして、確かな結果を提供することをお約束します。

よくある質問-EDR(イベント・データ・レコーダー)

  • EDR解析とは何ですか?
    EDR(Event Data Recorder)解析は、自動車やトラックなどの車両に搭載されているイベントデータレコーダーのデータを分析するプロセスです。EDRは、事故や衝突の際に車両の情報を記録する装置であり、そのデータは事故の再現や原因の特定に役立ちます。
  • EDR解析は法科学鑑定にどのように役立ちますか?
    EDR解析は、交通事故や刑事事件などの法的な調査において重要な役割を果たします。EDRデータは、車両の速度、ブレーキの使用、エアバッグの展開など、事故発生時の重要な情報を提供します。これにより、事故の経緯や当事者の行動を理解し、責任の所在を特定することができます。
  • EDRデータはどのように収集されますか?
    EDRデータは、車両のイベントデータレコーダーによって自動的に収集されます。ほとんどの現代の車両には、エンジン制御ユニット(ECU)やエアバッグ制御モジュールなどにEDRが組み込まれており、事故や衝突の際にデータが記録されます。EDRデータは通常、特殊なツールやソフトウェアを使用して取得されます。
  • EDR解析にどのような情報が含まれますか?
    EDRデータにはさまざまな情報が含まれます。一般的には、事故発生時の車両の速度、エンジン回転数、ブレーキの使用状況、アクセルの位置、ステアリングの角度、シートベルトの装着状況、エアバッグの展開状況などが含まれます。また、EDRデータには事故前後の時間軸情報も含まれており、事故の前兆や事故後の動作も推定することができます。