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火災鑑定|法科学鑑定研究所

火災鑑定 とは

火災鑑定の目的は、出火原因を究明し、その火災が「放火」か「失火」・「自然発火」かを明らかにすることと、その火災原因の結果に基づいて責任の所在を明らかにする事です。

火災事件は、発生プロセスが千差万別である事と、火災現場において物的証拠資料が焼失したり人命救助や消火活動によって、破壊・移動などを受ける事も多く、原因の究明が非常に難しい場合もあります。

しかも近年の火災事件は、ガソリンや灯油などの燃料系火災、漏電や電気ショートのような電気火災だけではなく、電気製品の小型化、リチウムイオンバッテリー搭載機器の多様化、建屋内の電化と電力供給の複雑化により、火災原因調査が難解になる傾向にあります。また、火災形態なども機器構造や建設構造・建設材料などの進化により一層複雑化する傾向があります。

火災鑑定

したがって、火災原因の究明にあたっては、出火現場を主体とした火災形態や燃焼現象に関する基礎的な知識をはじめ、
電気・化学・機械・構造・建設など各種分野にわたる、科学的な技術や経験・知識を用いて原因を究明することが求められます。

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火災鑑定 – 火災の鑑識とは

火災鑑識(Fire Investigation)とは、現場から証拠資料を収集し、それらを分析し、火災の出火箇所と発生原因を明らかにすることです。

火災事件は他の事件捜査と同様に、現場に立脚した観察及び物的証拠資料が基本となって行なわれます。
実際の出火現場では、多くの物的証拠資料が焼失を受けるために、焼け跡の残存する資料の保存状態で真相の究明が左右することもあります。

火災鑑定

初期調査

火災鑑定の調査は次の手順で進められます

  • 1
    出火建物の構造・収納物の確認、種類や位置、そして火炎の状況
  • 2
    設備に関する状況確認、電気(配線や器具)・ガス(配管や設備)
  • 3
    関係者からの事情聴取、早期発見者や消火従事者、近隣への聞き込み
  • 4
    気象状況の確認、出火の原因には気象が影響を及ぼす場合も少なくありません。
  • 5
    写真撮影、現場で目視発見が困難な場合でも、後に新証拠が発見される場合もあります。

出火箇所の判定

出火箇所とは、火災の発生した場所の事です。多くの検証材料から、総合的な見地から判断します。

  • 1
    出火箇所付近の壁・柱・機器・天井などの精査
    火災は、出火箇所側が先に燃焼することによって構造に弱体化が生じる事を前提としています。
    ですから、この現象は建物構造や収納、消火による影響も考慮されます。
  • 2
    炭化深度
    燃焼の強い所ほど炭化深度が進むという考えを基にしています。ですから例外も考慮されます。
  • 3
    炭化形態
    これは火の性質と燃焼を基に、火災伝播による火炎の方向を見定めていきます。
  • 4
    不燃物の剥離状態、変色状態
    不燃物が高温で加熱されると表面変化が現れます。これらを検証します。
  • 5
    電気配線・電話線などの熔融痕(電気火災の可能性)
  • 6
    ガス・調理台・暖房機などの精査(燃焼器具による可能性)
    ガスの配管や器具の精査
  • 7
    化学性物質の検査
    燃焼残渣から出火箇所付近に燃焼促進(油類)にあたいする成分が存在するか否か。
  • 8
    微少火源類の検査
    微少火源は焼失により存在しない場合が多い、そのため着火した可燃物を主体に検査します。

出火原因の判定

出火原因究明は、多くの事象から検証された結果を得て、総合的に判定されます。
火災原因は、発火源が出火原因となったことを立証する必要があります。
ですから、発火源と周辺の可燃物との相互関係を現場状況から明らかにしていきます。

放火犯を追う

火災には不慮による失火により、大きなダメージを受ける方がほとんどです。しかし、これとは別に故意に火を放つ放火犯がいます。放火は、殺人・強盗に次ぐ凶悪犯罪です。有罪となれば相当の代償を負う事となります。

残念な事に、火災原因のトップは「放火」なのです。一般的な放火犯は「薬物使用者」や「異常めいてい」「妬み」「恨み・仕返し」などです。
ですが、自分の財産や自宅などに火を放つ放火犯がいます。この放火犯の目的は「保険金」です。
放火事件は、一般的な火災とは明らかに異なる事象が多く見受けられます。
なにが発火し、どの様な燃え方をしたのかを特定することで、放火か否かが解ります。

近年では、GC-MSなどの分析装置も高感度が進み、以前では特定できなかった成分も正確に判定することが可能になり、さまざまな放火犯と対峙することが可能になっています。

火災鑑定の方法

火災鑑定とは、火災現場の焼け跡に残る個々の燃焼状況から、火炎方向や燃焼速度など、その起因を導き出し、燃焼箇所→出火箇所→発火部→原因というような順序で燃焼経路を遡り、発火源を追求し、何が原因で火災に至ったかを解明することでです。
しかし、一般に火災事件では、証拠資料の多くが焼失するだけでなく、消火・人命救助・検索の段階で破壊や移動などを受けるため、原因究明は障害が生じる場合もあります。
火災現場を中心とした物証面からの究明が最も重要な方法ですが、物的証拠関係者の行動も含めた人的検証も重要な証拠として検証します。
その理由は、火災事件とは直接・間接の「人の行為」によって起きるものだからです。

火災鑑定は実に広範囲な理科学知識を必要とします。
工学分野での建築学・都市計画学や理学分野である物理学・化学などを基礎知識とし、火災そのものの現象を科学的に再現していきます。

火災鑑定

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火災鑑定の理念

火災原因究明は、火災現象全般にわたる豊富な科学的知識と経験を基に理論的に判断し解明しなければなりません。
火災原因の判定は火災現場の焼失・燃焼状況を主体において実検証することが基本であり、立証に際し焼け跡から発火源として出火した事実を状況的証拠によって証明する事が必要です。
火災発生に対する因果関係の証明が、具体的事実と遊離した独断的な見解であったり、単一事象のみに拘った、偏った理論であったり、偶然性に基づいた推論などでは、あってはなりません。

また、原因究明に当たっては火災概要をよく把握し、客観的な立場から観察することが大切です。思い込みによる先入観にとらわれたり、余談・偏見などを持つことは絶対避けるべきです。

法科学鑑定研究所の火災鑑定

信頼と良識を持ち中立で公平なスタンスで以下の項目を行っています。

内 容
火災鑑定に関する相談 ・住宅/事務所/倉庫/工場等の建物火災に関する相談および調査
・車両/家電製品/各種設備等の火災に関する相談および調査
・火災現場調査/焼残物の化学分析・油性分析など
主な受託業務 ・火災原因調査
・焼残物の化学分析/油性分析
・火災実験など
主要顧客 ・裁判所/警察、法律事務所、教育/医療機関、一般法人/個人
参加学会
(法工学関連)
・日本法科学技術学会
・日本犯罪学会
・日本火災学会 など

火災鑑定の費用

火災鑑定の費用についてご説明します。

火災鑑定費用の目安

火災は、個々で条件が異なり、二つとして同じ火災はありません。
そのため、費用については一律ではなく、個別見積もりとなります。概ね下記の金額が目安です。
お気軽に、ご相談下さい。

火災調査・火災鑑定のご相談

当社では火災に至った原因調査。消防では火災原因を特定してもらえない。放火ではないのに保険会社が、保険金を払ってくれない。など、さまざまなご相談をお受けしております。お気軽にご連絡ください。

火災鑑定

ご相談-火災鑑定費用

期 間 特 徴 検査費用
ご相談 1週間程度 ご用意いただいた資料や写真を拝見し、火災調査や成分分析の可否、どのような調査が必要かなど、ご相談に応じます。 (無料)
0

※ご相談の段階で大量の資料確認が必要な場合、資料見分料(税込88,000円)を申し受けることがあります。
詳しくは、お問い合わせください。

事前所見-火災鑑定費用

期 間 特 徴 検査費用
事前所見 2~3週間程度 鑑定/調査結果の見込み・方向性について報告します。
(裁判資料不可)
88,000円~

鑑定業務-火災鑑定費用

期 間 特 徴 検査費用
鑑定業務 4週間程度 裁判提出用の鑑定書です。
係争相手から提出された鑑定書や調査報告書に対する意見書作成をご希望の場合はご相談ください。
要見積
ご相談ください

火災物理

火災に伴う発熱や煙流動などの現象を物理学的に解析する方法です。
火災で残された建物や燃焼残渣、燃焼促進剤の痕跡などから数値解析を行います。そして火災を再現していきます。
このシステムは “University of Greenwich” の火災工学グループで開発されたものです。
実は「火炎・かえん」は生物のように酸素を求めて変化します。

代表的なものは「拡散火炎」「層流火炎」「乱流火炎」など、さまざまな状況で変化する火炎の研究は「火災流体力学」と呼ばれています。
これらの複雑な現象である火災を数値化し再現していきます。消防防災用に開発されたものですが、火災の原因究明にもその威力を発揮します。
そのため、最新の科学捜査にも度々登場するシステムなのです。

火災鑑定
火災鑑定

成分分析・性状解析

成分分析・性状解析

火災現場から複数箇所の燃焼残渣を採取し、各種科学分析機器によって成分分析・性状解析などを行い、燃焼促進剤の有無に対して科学的な裏付けを与える方法です。

分析機器 分析で判明する事
ガスクロマトグラフ ガソリン・灯油などの判明
液体クロマトグラフ 薬品の分析
薄層クロマトグラフ 溶媒に溶けだした物の分析
赤外分光光度計 有機物の同定
質量分析計 分子構造の解析
核磁気共鳴分析 分子構造の解析
蛍光X線分析計 個体の成分分析
X線分析計 結晶性個体の分析
示差熱分析熱 着火温度の測定
発熱量測定装置 燃焼カロリー測定

これらの分析は、出火原因の究明、延焼拡大の要因などを明らかにする事が出来ます。
例えば、石油ストーブが燃焼異常を起こし付近の可燃物に引火し火災になった場合。石油ストーブ本体とタンク、さらにストーブ付近の残渣の分析を行えば原因となる成分が検出されます。(例えば、ガソリンとかシンナーや繊維残渣などです)
不審物質が検出されなければ、本体異常の可能性が検討されるのです。

現在、科学的な火災鑑定で最も重要なのが、焼け跡からの燃焼残渣の分析です。
1970年代に開発された「ガスクロマトグラフ」この登場により火災鑑定は急激に進化しました。
それまでの火災鑑定では、「検知管」や、「水中投入法」や「ヒトの臭覚」など限られた方法しかなく、「ヒトの経験と勘」に頼る捜査が行われてきました。
ガスクロマトグラフが可能にしたのは残渣に含まれる成分の高精度な分析でした。

最新のGC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)は高い検出感度と識別能力を持ち、数百万分の1gの燃焼促進剤の痕跡を見逃しません。
このGC-MSは、残渣の種類にによっては「数百万分の1g」までの含有成分を分析できます。

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