(法科研HP/コラム|公開日:2025年12月19日)
新型合成薬物「エトミデート」―
―ネット流通の“リキッド型危険ドラッグ”に注意
はじめに
2025年12月18日、東京都はインターネット通販で流通していた危険ドラッグ(液体)を試買して検査した結果、
4物品から指定薬物の「エトミデート」が検出されたと公表しました。危険ドラッグは、見た目や宣伝文句では中身が分からず、
重大な健康被害や事故につながるおそれがあります。
本稿では、発表の要点と法規制、そして「手元にある場合の対応」を一般向けに整理します。
公表内容のポイント
1)東京都の公表内容(何が見つかったのか)
東京都健康安全研究センターによる分析の結果、インターネット通販で販売されていた液体4物品から、
指定薬物のエトミデートが検出されました。公表資料では、1本あたり18~57mgが含まれていたとされています。
2)検出物品の特徴:表示不明・中身不明
公表資料では、検出された物品の「製品名」や「表示上の販売元」が不明である旨が示されています。
このような製品は、外観から成分を判断できず、同じように見えてもロットごとに成分や濃度が変わり得るなど、
リスクが高くなります。
3)エトミデートとは
厚生労働省はエトミデートについて、海外で鎮静剤・麻酔導入薬等として使用されている医薬品成分である一方、
国内では未承認であると説明しています。エトミデートを含む製品の摂取は健康被害のおそれがあるため、
購入や摂取をしないよう注意喚起しています。
4)法規制(指定薬物)
エトミデートは薬機法上の「指定薬物」に該当し、医療等の用途を除き、製造・輸入・販売だけでなく、
所持、譲受、使用なども禁止の対象となります(罰則の対象)。
5)“ゾンビタバコ”“笑気麻酔”などの呼び名に惑わされない
危険ドラッグは、刺激的な通称や医療を連想させる名称で流通することがあります。
呼び名では安全性は判断できません。「中身が不明な吸引・摂取用製品には関わらない」ことが最も重要です。
まとめ(押さえておきたい点)
- 東京都は2025年12月18日、ネット流通の液体4物品から指定薬物「エトミデート」を検出したと公表。
- 製品名・販売元表示が不明な物品が含まれ、外観では危険性を判断できない。
- エトミデートは国内未承認の医薬品成分として注意喚起されており、指定薬物として規制対象。
- 手元に該当物品がある場合は使用せず、所定の窓口へ申し出る。
相談窓口
手元に該当物品がある場合
- お住まいの都道府県(薬務主管課)へ申し出て、指示に従ってください(使用しないでください)。
東京都にお住まいの方(東京都の公表資料に基づく案内)
- 東京都 保健医療局 健康安全部 薬務課(直通):03-5320-4515
- 公表資料では、都内在住者は2025年12月24日(水)までに申し出るよう求めています。
体調不良・誤使用が疑われる場合
医療機関の受診や救急要請を含め、状況に応じて対応してください。応急対応に迷う場合の相談先として、
日本中毒情報センター「中毒110番」も案内されています。
- 中毒110番(一般・24時間):大阪 072-727-2499/つくば 029-852-9999
参考(一次情報)
- 東京都:指定薬物を含有する危険ドラッグを発見(2025年12月18日)
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansa/yakumukansa/kiken-info/etomidate-press.html - 東京都(公表資料PDF):指定薬物を含有する危険ドラッグの発見について
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/iryo/kansa/yakumukansa/kiken-info/etomidate-press.files/etomidate.pdf - 厚生労働省:国内未承認の医薬品成分エトミデートを含有する製品に対する注意喚起について(2025年5月1日)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_56389.html - 日本中毒情報センター:中毒110番
https://www.j-poison-ic.jp/
※本稿は違法薬物の使用を助長するものではなく、健康被害の防止と適切な相談行動を促すための情報提供です。
※エトミデート危険ドラッグは外観や表示だけで成分を判断できないため、手元にある場合は使用せず薬務主管課へ申し出てください。



