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2023.04.27

警察の指紋鑑定の日数は?指紋データの保管日数や指紋が残る期間も解説

警察の指紋鑑定は、結果が出るまで一定の日数が必要になることもあります。中には「本当に鑑定しなければならないの?」「どのくらい保存されるの?」と疑問を抱く方もいるでしょう。

本記事では警察の指紋鑑定の日数を紹介し、指紋データの保管日数や指紋が残る期間を解説します。

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指紋鑑定を警察に依頼することはできる?

例えば怪文書が送られてきた場合、警察に通報することで指紋鑑定してもらえる可能性があります。ただし、その可能性はあまり高くありません。怪文書だけでは、事件に発展する可能性が低いからです。

悪質性の高い場合や犯人がほぼ確実にわかっているという場合、警察が指紋鑑定してくれる可能性があるでしょう。ただし、時間がかかってしまうことも珍しくありません。急いでいる場合は、民間の鑑定機関を利用しましょう。

指紋鑑定の日数は?

次に、指紋鑑定の日数はどのくらいかかるのか説明します。

警察で指紋鑑定する際の日数

警察が指紋鑑定する際の日数は、鑑定する指紋の数や状態、鑑定する犯罪事件の種類や重要度などによって異なります。

一般的には、数日から1週間ほどで結果が出る場合が多いです。ただ、警察には「指紋自動識別システム」と呼ばれるツールがすべての警察署に設置されています。そのため、指紋の照合だけなら比較的短時間で終わる場合もあります。

警察庁では、昭和57年から、指紋の隆線の特徴点(端点と分岐点)を一定のパターンとしてコンピュータに登録し、照会した指紋が記憶しているパターンと一致しているかどうかを自動的に認識・分類するパターン認識技術を応用した指紋自動識別システムを導入し、遺留指紋の照合業務等を効率化した。平成10年からは、指紋を短時間で採取できるライブスキャナを導入し、現在ではすべての警察署に設置されている。
出典:警察庁|第3章 生活安全の確保と犯罪捜査活動 

ただし、指紋自動識別システムで照合できるのは、データベース内に保存された指紋だけです。つまり、逮捕時に採取された指紋などのデータがなければ照合できません。

鑑定機関で指紋鑑定する際の日数

鑑定機関で指紋鑑定する場合、1週間程度の時間が必要です。ただ、指紋の状態や指紋検出を行いたい物品、鑑定機関の混雑状況などによって異なると考えてください。物品に多くの人が触れていた場合や検出された指紋が不鮮明だった場合は、より多くの時間が必要になる場合があります。

指紋鑑定以外の日数は?

次に、指紋鑑定以外の日数を紹介します。ここで紹介するのは以下の2点です。

  • 指紋データの保管期間
  • 証拠品などに指紋が残る期間

指紋データの保管期間

指紋データの保管期間は決められていません。指掌紋取扱規則の第1条で次のように定めています。

(目的)第一条 この規則は、被疑者の指紋及び掌紋を組織的に収集し、管理し、及び運用するために必要な事項を定め、もって犯罪捜査に資することを目的とする。
出典:e-GOV|指掌紋取扱規則(平成九年国家公安委員会規則第十三号)

このように、法的には「いつまで」という決まりを設けていないのです。ただ、指掌紋取扱規則には次の記載があります。

(目的)3 警察庁犯罪鑑識官又は府県鑑識課長は、その保管する指掌紋記録等が次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、当該指掌紋記録等及び当該指掌紋記録等に係る処分結果記録又は処分結果資料を抹消し、又は廃棄しなければならない。一 指掌紋記録等に係る者が死亡したとき。二 前号に掲げるもののほか、指掌紋記録等を保管する必要がなくなったとき。


出典:e-GOV|指掌紋取扱規則(平成九年国家公安委員会規則第十三号)

このように「亡くなったとき」もしくは「保管する必要がなくなったとき」とされています。つまり、明確な時期はないものの、かなり長期間、警察のデータベース上に残り続ける可能性があるでしょう。

証拠品などに指紋が残る期間

証拠品などに指紋が残る期間は、状況によって異なります。指紋が付着した状態やその物品の材質、指紋を残した人物の体質、証拠品が保管されていた環境や期間などによって残存期間が変化するためです。

一般的に、乾燥した表面に指紋が付着した場合は、数日から数週間程度しか残りません。ただし、指紋が付着した物品や環境によっては、数か月から数年間指紋が残ることもあります。指紋が付着した物品が長期間保存された場合には輪郭が変形することがあり、判読が困難になる場合もあるでしょう。

ただ、これらはあくまで一般的な目安です。実際に指紋が残っているかどうかは鑑定してみなければわかりません。当社の場合、10年前の指紋を鑑定できるケースもあります。詳しくはお気軽にお問い合わせください。

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指紋鑑定だけで警察に捕まるのか

指紋鑑定だけで警察に捕まるとは限りません。ただ、警察にとって指紋が重要な証拠になりうるのは事実です。

警察にとって指紋の重要性とは

警察が指紋を重要視する理由は、指紋が個人の身元を特定することができるためです。指紋は皮膚の表面にある模様で、個人ごとに異なる特徴を持ちます。そのため、犯罪現場や証拠品などから発見された指紋が一致した場合、関与が疑われることになります。

実際に、警察庁は指紋の重要性を次のように認めているのです。

指紋及び掌紋は、「万人不同」、「終生不変」の特性を有し、個人を識別するための資料として極めて有用であることから、犯罪捜査で重要な役割を果たしている。
出典:警察庁|第4章 犯罪情勢と捜査活動

警察の指紋鑑定を拒めるのか

警察の指紋鑑定は拒否できます。これは憲法13条で私生活上の自由の一つとして保障されているからです。

第十三条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。
出典:日本国憲法(昭和二十一年憲法)

実際に、 平成7年12月15日に判決が出た裁判では、次のように「指紋の押捺を強制することはできない」と判決が下っています。

一 何人も個人の私生活上の自由の一つとしてみだりに指紋の押なつを強制されない自由を有し、国家機関が正当な理由もなく指紋の押なつを強制することは、憲法一三条の趣旨に反し許されない。
出典:裁判所| 最高裁判所判例集 平成2(あ)848

警察に指紋を採取される理由

憲法で保障されているとはいえ、指紋を拒否できない場合もあります。指紋を採取される理由は主に2つあります。

  • 刑事事件で指紋を取られる場合
  • 交通違反のときに指紋を採取される場合

刑事事件で指紋を取られる場合

指紋鑑定を拒むことができないケースは以下の2つです。

  • 身体検査令状が発布されている
  • 身柄拘束されている被疑者である

まず、刑事訴訟法の第二百十八条では身体検査令状が発布されていると、警察は「身辺検査することができる」と定められています。

第二百十八条 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。
出典:刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)

中には「令状がなければできないのでは」と考える方もいるでしょう。同じく刑事訴訟法の第二百十八条では、次のように規定されています。

③ 身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第一項の令状によることを要しない。
出典:刑事訴訟法(昭和二十三年法律第百三十一号)

つまり、身柄拘束をされている場合は身体検査の令状がなくても指紋を採取できるようになっています。

交通違反のときに指紋を採取される場合

交通違反した際、刑事事件でもないのに指紋を採取されることがあります。これは、厳密に言えば指紋鑑定ではありません。個人を認証する手段として指紋を押捺しているだけです。

つまり、交通違反した人と処分の対象となる人が「同一である」ということを確認するために指紋の押捺が用いられているわけです。

指紋するのは「交通事件原票」と呼ばれる書類です。違反の内容や日付が記載された書類に「私が上記違反をしたことは相違ありません」という部分に署名と押捺を求められることがあります。

指紋鑑定なら法科学鑑定研究所

指紋鑑定が必要な場合、法科学鑑定研究所にお任せください。ここでは法科学鑑定研究所が選ばれるポイントを紹介し、指紋鑑定の費用と流れを解説します。

法科学鑑定研究所のポイント

法科学鑑定研究所が選ばれるポイントは主に3つあります。

  • 強力な指紋検出力を持つ最新試薬で検査
  • 専用の指紋検出機器で指紋検出
  • 指紋照合ソフト”AFIS”と職人技の組み合わせ

強力な指紋検出力を持つ最新試薬で検査

当社は科学警察研究所が主催する法科学技術学会に積極的に参加しています。さらに、最新かつ高性能な指紋検出試薬を世界中から調達しており、海外でもリーガル・ラボラトリーとして高い評価を得ています。

このように質の高い技術を持ち合わせていながらも、使用する試薬は警察などの公的鑑定機関と同等です。さらに、自社内“指紋ラボ直販”で“高精度で格安”な検査結果が受けられます。

専用の指紋検出機器で指紋検出

指紋検出には、高度な技術が必要です。指紋はさまざまな条件によって変化するからです。例えば、指紋が付着している物質や表面の状態、指紋が残った時間などが影響します。また、現場の指紋は完全な形では残らず、大抵は部分的な形になりかねません。

当社は専用の指紋検出機器を用いて、このような指紋でも高い精度で検出できる可能性があります。検出の手法も指紋付着状況や検体状況に応じて適切な手法を選択し、戦略的に検出することが可能です。

指紋照合ソフト”AFIS”と職人技の組み合わせ

当社ではAFISと呼ばれる専用ソフトウェアを使用して指紋を解析・照合します。さらに、世界基準の指紋判定知識と警察と同等レベルの技術力を持つ専門家がサポートします。

指紋鑑定の費用

指紋鑑定の基本費用は以下のとおりです。

検査項目費用備考
指紋検出基本55,000円~
指紋検出試薬費用33,000円検体5点まで
追加検体試薬費用16,500円追加5点ごと
指紋照合22,000円物品に付着した指紋1点と対照用の指紋1点の照合(照合数によっては要相談)
回答書作成165,000円回答書作成渡し
鑑定書作成330,000円鑑定書作成渡し
鑑定嘱託660,000円裁判所・検察・警察による嘱託。証人出廷は別途費用

指紋検出の基本技術料は55,000円から始まります。検出試薬費用は33,000円で、検体5点まで対応可能です。追加検体試薬費用は16,500円で、追加5点ごとに対応できます。

指紋照合の費用は22,000円です。回答書作成は165,000円、鑑定書作成は330,000円であり、鑑定書作成渡しとなります。資料の種類や保管状況・検出方法によって変動しますが、指紋検出に約8万、指紋照合は検出数によって変わってきますが大体一人と照合するのに10~20万円かかると考えると分かりやすいでしょう。

鑑定嘱託に関しては、裁判所・検察・警察によって嘱託され、費用は660,000円です。証人出廷は別途費用が発生します。

費用一覧はこちら

指紋鑑定の流れ

当社に指紋鑑定に関するご相談をいただいた場合、以下の流れになります。

  1. 指紋鑑定に関するご相談(メールまたはお電話)
  2. 指紋採取資料(鑑定対象物)の準備
  3. 検体資料の郵送
  4. 外観検査-前処理
  5. 指掌紋の検出と採取
  6. 対象者指紋と指紋鑑定(指紋照合)
  7. ご報告

指紋検出結果をご報告し、鑑定料金のお見積りをお送りします。指紋採取人を派遣することも可能ですが、別途派遣費用がかかります。

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