筆跡鑑定の信憑性は?鑑定機関を選ぶポイントや手法などを解説
「筆跡鑑定を依頼したいけれど、信憑性はどうなのだろうか」
「どうすれば信憑性の高い筆跡鑑定をしてもらえるのだろうか」
筆跡鑑定を検討する際に多くの方が疑問を抱くのは「信憑性」でしょう。信憑性がないのであれば、筆跡鑑定は単なるお金の無駄になってしまいかねません。
筆跡鑑定は依頼する機関を間違えなければ、十分な証拠能力が期待できます。本記事では筆跡鑑定の信憑性について説明し、手法や鑑定機関の選び方を解説します。
筆跡鑑定の信憑性とは
まず、筆跡鑑定の信憑性そのものについて説明します。ここで解説するのは以下の2点です。
- 十分な証拠能力が期待できる
- 鑑定結果に対する根拠によって信憑性が判断される
十分な証拠能力が期待できる
冒頭でお伝えしたとおり、筆跡鑑定は十分な証拠能力が期待できます。ただし、科学的もしくは統計学的な手法によって鑑定が実施され、客観的であることが条件です。
この条件をクリアできれば、裁判などで有効な証拠として受理される可能性があるでしょう。一方、主観に頼った鑑定結果であったり、鑑定結果に対してあいまいな根拠であったりすると証拠価値が低いと判断されてしまう可能性があります。実際に、当社では警察や裁判所から鑑定を嘱託した実績もあります。
鑑定結果に対する根拠によって信憑性が判断される
筆跡鑑定において最も重要なのが鑑定結果に至った根拠です。なぜなら筆跡鑑定はDNA鑑定と違って、手法が1つに統一されておらず、独自の理論で筆跡鑑定を行っている自称鑑定人も存在するため、エビデンスを求めることが難しいからです。
例えば、DNAは人によって異なるうえに、生涯変わることはありません。そのため、異なる鑑定機関で鑑定を実施しても、鑑定にミスがない限り同じ結果が返ってきます。
一方、筆跡鑑定にはDNA鑑定のような統一された手法がなく、鑑定人になるための資格も必要ありません。そのため、鑑定機関によって結果が異なるケースも少なくないのです。だからこそ、筆跡鑑定の信憑性は「どのような方法を用いたか」「誰がおこなったか」「鑑定結果の根拠に合理的な説明があるか」が重要になります。
信憑性の高い筆跡鑑定機関を選ぶポイント
鑑定機関によって、結果が大きく異なる場合も珍しくありません。鑑定機関の選択を誤ると、裁判で証拠提出した筆跡鑑定書が証拠品として認められない可能性もあるでしょう。
そこで、ここでは信憑性の高い筆跡鑑定機関を選ぶポイントを紹介します。注目すべきなのが以下の3つです。
- 科学的な根拠があり実証できるか
- ピアレビューもしくは出版されているか
- 専門分野で一般的に受け入られているか
これらは「ドーバート基準」と呼ばれるもので、アメリカで「科学鑑定を採用するか否かを」を判断する基準であるとされています。日本でも、刑事訴訟ではドーバート基準を用いて鑑定書を審査することがあります。
科学的な根拠があるか
まず、鑑定理論について科学的根拠があり、他者により鑑定結果の「再現ができる」すなわち再現性があるとと認められなければなりません。例えば、上述したとおりDNA鑑定はどの鑑定機関でおこなっても、基本的には同じ判定結果が出ます。つまり、科学的に「証拠能力がある」と判断できるわけです。
筆跡鑑定も同じです。鑑定機関を選ぶ際には、科学的な根拠を用いて判断してくれるところに依頼しましょう。一方、「鑑定人の眼力」「長年の勘」といった非科学的なものを根拠にしている鑑定機関は避けたほうが賢明です。
ピアレビューもしくは出版されているか
ピアレビュー(査読)とは、学会やコミュニティーなど専門家組織による点検を意味します。証拠能力があると認められるのは、理論が学会に論文として発表され、専門家のピアレビューを受けたものです。
第三者機関を通さない鑑定機関はあまりおすすめできません。
専門分野で一般的に受け入られているか
学会などにおける受容の程度も重要です。例えば、次のようなチェックポイントがあります。
- どのような学会なのか
- どのような研究者が所属しているのか
- どのように判定しているか
- どのような評価なのか
信頼できる筆跡鑑定機関は、専門の学術機関・学会に所属しています。学術団体に所属していない鑑定機関には注意しましょう。
信憑性の高い筆跡鑑定の手法
筆跡鑑定にはさまざまな手法があります。信憑性の高い筆跡鑑定機関を見つける場合、「どのような手法で鑑定するか」も確認しましょう。重要なのは、上述したとおり「科学的な根拠があるかどうか」です。
科学的な根拠を用いる筆跡鑑定の手法が以下の2つです。
- 多変量解析
- 数値解析
多変量解析
多変量解析とは、複数の変数に関するデータをもとに、これらの変数間の相互関連を分析する統計的手法の総称です。医療分野での研究やマーケティングの分野などにおいても広く使われる解析方法であり、次のような場面で用いられることが多いです。
- ある病気が発症した患者の生活習慣や身体的特徴などから病気の発症リスクを探る
- 身体測定のデータから病気のリスクを知る
- お客様アンケートの結果から商品の強みや弱みを分析する
- 店舗のデータから、将来の売上を予測する
筆跡鑑定の場合、コンピュータを用いて筆跡を数値化し、対照資料との比較及びデータベースとの比較から客観的な鑑定結果を導き出します。
当社の場合、以下4つの多変量解析を使って科学的な鑑定結果を求めています。
相関分析 | 疑問資料と対照資料間について1点ずつ相関関係を分析する手法 |
クラスター分析 | 疑問資料と対照資料群を混合した状態でクラスターを形成し、疑問資料と対照資料の類似性について分析する手法 |
主成分分析 | 疑問資料及び対照資料から類似する要素を主成分として抽出し、主成分の類似性かについて分析する手法 |
回帰分析 | 疑問資料と対照資料の関係性を回帰式に当てはめた上でその類似性について分析する手法 |
数値解析
数値解析とは、さまざまな現象を数学的に表現し、計算機で再現・予測する解析方法です。理論や実験と並び「科学技術の研究における第3の手法」といわれることもあります。
当社では、このような解析方法を用いて筆跡鑑定を実施します。したがって、極めて客観性の高い鑑定結果を出すことが可能です。さらに、当社には研究データを含め、6万以上の筆跡データが蓄積されています。
信憑性の高い筆跡鑑定なら法科学鑑定研究所
筆跡鑑定はとにかく信憑性が最も重要です。信憑性の高い筆跡鑑定なら法科学鑑定研究所にお任せください。
法科学鑑定研究所の筆跡鑑定のポイント
ここでは法科学鑑定研究所の筆跡鑑定のポイントを3つ説明します。
- 最新の機器と技術を用いて科学的に鑑定する
- 専門性の高い学会に所属し、毎年研究発表している
- 3,000件以上の相談件数を誇り、裁判所や官庁からの依頼実績もある
最新の機器と技術を用いて科学的に鑑定する
法科学鑑定研究所の筆跡鑑定は、科学的な手法と最新機器・技術を利用します。例えば、次のような機器があります。
文書鑑定システムVSC(画像スペクトルコンパレーター) | 警察の犯罪捜査にも採用されている強力な文書鑑定システム。可視光線や赤外線、紫外線等の光源などを用いて、肉眼では観察できない違いを検出する |
高性能デジタルマイクロスコープ | 筆記具の運筆状態やインク画線の交わり、朱肉の状態、レーザープリンターやインクジェットプリンターの印刷状態などを高精細かつ高倍率で観察する |
赤外線イメージスキャナー | 加筆された文字や消除された文字や筆記具を識別する |
静電筆圧痕検出装置ESDA | 検出困難なわずかな圧痕を静電法で検出する |
専門性の高い学会に所属し、毎年研究論文を発表している
当社は以下の学会に所属しています。
- 日本応用心理学会
- 日本法科学技術学会など
単に所属しているだけでなく、毎年、研究論文を発表しています。
3,000件以上の相談件数を誇り、裁判所や官庁からの依頼実績もある
当社では科学的かつ客観的な筆跡鑑定を実施することが評価され、裁判所や官庁から依頼されるケースも少なくありません。民事事件に関する筆跡鑑定も、数多くの依頼を受けております。
参考までに、過去5年間の累計受任件数は約400件以上、相談累計は3,000件以上です。
筆跡鑑定の費用
項目 | 費用(税込) | 期間 |
事前相談(電話・メール) | 無料 | – |
事前相談(来社) | 5,500円/30分 | – |
鑑定(検査回答書) | 220,000~円 | 約3~4週間 |
鑑定書作成(裁判資料) | 330,000~円 | 約3~4週間 |
意見書作成(裁判資料) | 330,000~円 | 約4週間 |
はじめに、電話やメール、来社による事前相談をご利用ください。来社される場合、5,500円/30分の料金が必要になります。
裁判資料として利用する場合、「鑑定書作成」をご依頼ください。裁判所に提出することを目的とした書類を作成し、報告いたします。
筆跡鑑定に必要な書類
筆跡鑑定に必要な書類は以下のとおりです。
- 筆跡鑑定を実施したい資料:1点
- 筆者が明確な資料:3~5点
また、筆跡鑑定を実施したい文字に対して「同じ漢字・同じ文字」を含む資料が3~5点ほど必要になります。以下の書類はできるだけ避けてください。
- 記載時期が大きく異なるもの
- 同じ書類に複数回記載されているもの
- 筆やサインペンなど筆記具が異なるもの
- 認知症・統合失調症など病気の前後のもの
筆跡鑑定の流れ
筆跡鑑定の流れは以下のとおりです。
- 無料相談
- 鑑定可能かどうかの回答と見積もり
- 鑑定の実施
- 鑑定書作成
無料相談
はじめに無料のご相談を承ります。ここでは筆跡鑑定をご用命頂く際の流れや料金体系、鑑定について案内いたします。
あらかじめ、電話やメールで以下の点をお伝えていただけると幸いです。
- 筆跡鑑定を実施する背景
- 鑑定資料の種類と数量
なお、来社される場合は5,500円/30分の料金がかかってしまう点に注意してください。
鑑定可能かどうかの回答と見積もり
鑑定の実施が可能か否かについて、鑑定人が検討します。
可能な場合、鑑定費用をお見積します。鑑定を依頼したい資料やデータを送ってください。
鑑定の実施
お支払いいただけましたら、鑑定を実施します。鑑定後には結果を「検査回答書」という形で報告いたします。
基本的に、報告までの期間は約4週間です。
鑑定書作成
裁判で利用したい場合、鑑定書の作成が必要です。検査回答書に鑑定結果を記載し、裁判所提出用の鑑定書に仕上げます。
筆跡鑑定は信憑性が高い機関を選ぶべき
筆跡鑑定はDNA鑑定と異なり、かならずしも証拠品として受理されるわけではありません。一方、十分に証拠能力を備わったものであるといえます。
筆跡鑑定で重要なのが信憑性です。特に「科学的根拠があるか」「客観的なデータか」に注目しましょう。当社の場合、最新の機器を使って科学的かつ客観的な鑑定結果を抽出いたします。まずは無料相談をご利用ください。