検査遺伝子数と精度のはなし
DNA鑑定が初めて犯罪捜査に用いられたのは1986年です。その当時はRFLPと呼ばれる手法での検査でした。その後、STRと呼ばれる個人を識別するのに有効な領域がゲノムのいたるところに存在することがわかり、DNA鑑定のメインはSTRに移っていきます。そして1994年に4つの遺伝子座を同時に検査するマルチプレックスキット(第一世代)が発売されました。その時の識別精度は1万分の1でした。その後、6つの遺伝子座と性判別マーカーで構成される第二世代のマルチプレックスキットが発売されます。このキットの識別精度は5000万分の1でした。そして1997年に13個の遺伝子座をコアとした国家DNAデータベースを作成するCODIS(Combined DNA Index System)がアメリカではじまります。
CODISは性犯罪者や重罪犯罪者のDNAを登録するデータベースですが、その識別精度は1兆分の1であり、ついに世界の人口を超える程の識別精度になりました。CODISは現在さらに7つのコア遺伝子座が追加され、20個の遺伝子座によって識別を行っており、さらに識別精度が高くなりました。日本の警察でも16遺伝子座でDNA鑑定が2003年に導入されました。この時のDNA鑑定の識別精度は4兆7000億人に1人の識別精度であり、現在ではさらに23個の遺伝子座でDNA鑑定が実施されており、その識別精度は565京人に1人という高い識別能力を持った検査となっています。
このように、日本国内のみならず世界的に見ても、検査遺伝子座数の増加によって識別精度を向上させることが必須の考え方となっております。妊娠中DNA親子鑑定( 出生前DNA親子鑑定 )では次世代シーケンサーを用いた検査が実施されています。これはNIPT(新型出生前診断)の技術を応用した検査方法であり、SNPという領域を検査しています。出生前DNA親子鑑定を実施している世界最大の⺠間DNA鑑定会社であるDDCは2000箇所以上のSNPを検査しており、高い精度の確保に務めていることがわかります。また、科学警察研究所でも次世代シーケンサーを用いた鑑定法の研究等を行っており、SNPを多数調べることで個人識別の精度を向上させることが可能とされています。(https://www.npa.go.jp/nrips/jp/first/section4.html)
このようなことから、当社では537箇所のSNPを検査することで正確な検査結果をお客様の元にお届けしております。
4兆7000億人の出所
https://www.npa.go.jp/hakusyo/h28/honbun/html/s2220000.html