科学捜査用ライト-ALS
科学捜査用ライト-ALS
肉眼で見えない遺留指紋を潜在指紋と呼びさまざまな検出方法で採取されます。
では、なぜ目に見えない潜在指紋が、そこにあるのが解るのか。
勘?経験?・・・イイエ(- -)b゛・・・チガイマス
「だって、指紋の本にそう書いて・・・・!」
いつの時代の本でしょ?
・・ものすご~く、進歩しています・・;
現在は、特殊光学機器(ALS)を使うと、潜在指紋がクッキリ見えてしまいます。
ALSによる指紋検出|(Alternative Light Sources)
ALSは、可視光・赤外線・紫外線を応用し、ある特定の波長の光を照射することで、目には見えない証拠を可視化するシステムです。
物質は、ある一定の波長の光を吸収し、違う波長で発光する性質を持っています。
これを「ルミネッセンス」と呼びます。
ルミネッセンスとは、物質が電磁波や熱、摩擦などによりエネルギーを受け取って励起され、その受け取ったエネルギーを特定波長の光として放出する発光現象のことです。
簡単に言うと、有機物なら、ほんどの物を発光させる事が可能と言う事です。
この光の特性を応用し、ある波長の光を照射します。
そして、ゴーグルを使って邪魔な波長の光を遮断します。
すると、様々な痕跡が浮かび上がり、目には見えなかった「物」が見えてくるのです。
1970年、“光”を科学捜査に応用し、実用化に成功したのはカナダ警察でした。
当時は、水冷式の医療用アルゴンレーザーを利用し、指紋・体液・繊維などを検出していました。
しかし、あまりにも大きい検査設備と多大な検査費用のため、科学捜査の現場に登場することは少なかったのです。
1990年代に入ると小型化されたレーザー装置が開発されましたが、まだまだ高価でした。
そのため、現場資料を一端持ち帰り、ラボで検査が実施されていました。
近年、手軽に扱える安定した光源がえられるシステムが開発され、実際の科学捜査の現場に投入されました。
すると、科学捜査研究者の発表する論文が劇的な変化を起こしました。
以前はラボ内検査が通例だった光学検査、
それが、事件現場の最前線で光学検査が実施されるようになると・・・
次々に発表される、新らたな試験法・検査法や分析技術
これも見える、あれも見えると、相次ぐ論文達・・
ALS光源の投入で科学捜査の最前線での様相がガラリと変わりました。
ALSとカラーゴーグルを使用して肉眼では見えない証拠や痕跡が浮かび上がるシーンは、アメリカの人気ドラマ「CSIシリーズ」や「ボーンズ」など、
科学捜査ドラマで頻繁に登場し、一般視聴者に強力なインパクトを与えています。
科学捜査ドラマの派手なシーンはCGじゃないの?では、実際にALSを使用して写真を撮ってみましょう。
(凄いでしょ♪ これが最新科学捜査技術です)
各波長のALS光源を放ち、特殊なゴーグルを装着し、肉眼では見えない証拠や痕跡が浮かび上がる本物の科学捜査の現場は、ドラマや映画をはるかに超えた世界なのです。
進化するALS光源と周辺機器達
下の写真は実際に法科研で使用されている科学捜査用ライト-ALSとフィルター&ゴーグル達。
ALS光源は、さまざまな場面で応用されていますが、潜在遺留指紋の検出する際、唯一の欠点が検体背景に反応してしまう事でした。
この事が指紋を観察するうえで妨害になっています。
そこで、ALS光源を潜在指紋の検出に有効に利用するためさまざまな研究がなされています。
現在では、ALS光源専用の指紋のみが励起光で発光する試薬も開発されています。
これらの最新の専門試薬は背景に影響されることなく、潜在指紋のみが発光します。
(一番右の写真・・アメリカの映画やドラマに度々採用され登場していますよね♪)
専用試薬とALSを使用し写真として収められた画像データーは、専用のプログラムソフトで調整することにより潜在指紋のみを的確に抽出することが可能になりました。
ALS光源を応用する技術はアメリカだけではありません。
いかなる指紋も逃がさず検出することを実現するため、日夜、科学捜査技術の開発が日本でも進められています。
これらの技術力が向上したお陰で、今ままでなら不鮮明指紋とされた。
遺留指紋が見直され、科学捜査の現場で活躍のフィールドを広げています。
ALSによる撮影
ALSを使用して鮮明な画像を得るには、特殊なカメラが必要です。
アメリカFujifilm社が開発した「法科学用一眼レフ」です。残念ながら、日本では発売されていません・・逆輸入品です。一般的なカメラは赤外線/紫外線をカットしてしまいます。
このカメラは紫外線/赤外線撮影が可能なデジタルカメラです。
ついに、MADE IN JAPAN、発売されました。国内流通品です。
バンド幅も広がり、さらに小型軽量です。
やれば出来る子、FUJIFILM社、すばらしぃ~
一般的なデジタルカメラのCCD、CMOSなど、撮像素子の分光感度特性は、波長が長くなる程、CCD素子基板の深いところで吸収され、短くなる程ごく浅い表面付近で光が吸収されてしまう為に、不可視光領域の長波長、短波長の光は十分に電荷に変換できません。
デジタルカメラの波長は約400nm~700nm付近とされています。
さらに、紫外光、赤外光の入り込み防止する目的で、UV-IRカットコートが施された、光学ローパスフィルターや、IRガラス(近赤外光吸収ガラス)が使用されている物も多いのです。
例えば、科学捜査で最も多用される紫外線領域は355~435um
赤外線領域は650~730umです
一般的なデジタルカメラで指定波長カットフィルターを使用し撮影すると、解像度の落ちた、不鮮明写真になってしまいます。
そこで、紫外線領域と赤外線領域までキッチリ写せる科学捜査用の特殊カメラが必要になるのです。
指紋鑑定や法医鑑定には紫外線領域を多用します。
火災鑑定や交通事故鑑定、筆跡鑑定は赤外線領域を多用します。
まさに「科学捜査用カメラ」=「Forensic Science Model」ですよね。
アメリカの「CSI」や「FBI研究所」に装備されているカメラは、この「UV-IR」モデルです。
小型軽量化され、HDMI端子も新設されたことから、医療分野などでも利用が期待されるようなりました。
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