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指紋鑑定

指紋の識別・照合 = AFIS

指紋の識別方法 AFIS

AFIS=Automated Fingerprint Identification System=(エイフィス)と呼びます。指紋の識別・判定方法には、明確な国際ルールが存在しています。

 

この定められたルールには、特徴の捉え方、認定の方法、一致の方法、否定の方法も含まれています。

指紋の鑑定は、多くの研究者による検証が行われ、確実性/安全性/安定性が確認された判定手法で検証されています。

つまり、定められた基準を設け判定を行うことで、『公平で高精度』な判定が可能になるのです。ですから指紋の鑑定は、捜査段階での冤罪阻止や裁判官が有罪/無罪を判定する重要な資料となるのです。

なぜなら、独自の指紋識別理論で好き勝手に有罪/無罪が決められたたら・・大変ですよね

この識別ルールによる指紋判定方法には 大別すると3つの種類があります。

  1. 「隆線縁鑑定法」 →  そのまま隆線の形で鑑定するものです
  2. 「汗腺孔鑑定法」 →  隆線にある汗腺孔の形や間隔・位置などで鑑定します
  3. 「特徴点鑑定法」 →  特徴点間の位置や距離・角度を測り鑑定します

(3)の特徴点鑑定法は現在、世界中で最も信頼度が高い指紋鑑定方法と考えられ、当社でもこの指紋鑑定方法でご報告しています

では「特徴点鑑定法」とは、どんな指紋鑑定方法かというとヒトの指紋には、 ヒトそれぞれに、多くの特徴がある事は皆さまもご存知かと思います。

人の指先にある特徴点の数は、日本人の場合、多い人で150~160点、少ない人でも50~60点平均で100点あるとされています。

その指紋に存在する100近くの特徴点を摘出し、特徴点位置、距離を計測、その結果を比較し個人の識別を行い指紋鑑定する方法なのです。

・・・では、 その特徴点とは何かと言うと・・・

大別すると↓の7点を特徴点と判断しています

  1. 「開始点」→ 隆線が始まる位置
  2. 「島形線」→ 島形になっている位置
  3. 「短い隆線」→ 切れて独立している短い隆線の位置
  4. 「終止点」→ 隆線の終わる位置
  5. 「接合点」→ 隆線が繋がる位置
  6. 「分岐点」→ 隆線が分裂している位置
  7. 「点」→ 点の位置

指紋の隆線を一つ ひとつをよ~く見てみると隆線の中には、途中で枝分かれするものや、切れているものがあります ・・よね♪

更に、隆線の始まりやカーブの度合いなどを抽出し、各々の特徴点間の方向や距離などの位置を記録して、個人の特徴を算出し、決定して行くのです。

指紋の判定基準

指紋の照合は、最初に紋型を比較し同一と認められた場合にのみ、特徴点抽出法に移行し、類似点を確定します。

(ただし、相違点が一つでも認められれば、同一指紋は否定されます)

特徴点抽出法とは、特徴点の相互比較によって得られた特徴点を積み重ねることによって識別する特徴点指摘法です。

そして捉えられた特徴点が12個一致すれば、照合上同一指紋となります。

「たったの12個なの?」と、よく質問されますが、確率的な見解は・・・

指紋の隆線特徴点が8個一致すると(1億分の1)の確率、12個の一致したものの現れる可能性は(1兆分の1)の確率、となります。

つまり、世界人口は78億人(2021年統計白書)ですから指紋の特徴点が12個一致すると、確率的には『本人以外あり得ない!』となります。

12点特徴法

2つの指紋を同一とするためには、12個の一致する特徴点を指摘しなければならない。

2つの指紋は同一であると鑑定されるならば、12個の一致する特徴点が指摘される。であって逆ではない。

12個の一致する特徴点が指摘されるならば、2つの指紋は同一であると鑑定される。は成り立たない。

指紋の鑑定基準は、世界的に特徴12点に統一し、運営されています。

特徴12点の根拠にした理由は何か?

日本では、警察庁刑事局鑑識課が文部省統計数理研究所の協力を得て、当時コンピュータに入力されていた100万指の資料を用いて検証した結果、「隆線特徴点12点による一致は統計的及び科学的に同一人指紋と判定できる」すなわち、その数学的な裏付けにより、検証済みの方法だからです。

この12点指紋鑑定法を裁判証拠として採用している国がほとんどなのです。

指紋識別システム

スパーテクノロジーの世界

以前の指紋照合は熟練した科学技術者が担当し、手作業で行われていました。現在では、数々のプログラムが開発され科学捜査の現場で活躍しています。

科学捜査で使用される指紋解析システムの結果は100%の客観性が保証されています。なぜなら、結果の読み取りは検査者の目視に依存しておらず、ソフトによる表示だからです。

指紋抽出から指紋照合までの流れ

画像撮り込み → 画像解析 → 特徴点抽出 → 照合 → 鑑定

画像取り込み

カメラとスキャナーで取り込みます。

画像解析

鮮明化処理および重複指紋分離処理
鮮明化処理システム
最新の画像工学処理技術は黒潰れや白飛び箇所からでもデータが存在していれば部分除去し画像として確認できます。

特徴点抽出

自動抽出後、マニュアルで補正、一つずつ処理される
自動特徴点抽出プログラム
指紋モード/掌紋・足紋モードに分かれ指掌紋・足紋・耳紋の全てに対応できる。
細線化処理せず、純粋に高精度の指紋特徴点を抽出
この画像処理方法なら重複指紋や凹凸面の特徴点も抽出できます。

照合

疑問指紋と、対照用指紋をデータベース化し照合する
自動特徴点照合システム
AFIS = Automated Fingerprint Identification System =(エイフィス)と呼びます。

当社では、FBI・CIA・NCIS採用、AFISシステムを導入・・(世界最強システムです)

左下スキャナー/中央27インチ高解像度モニター/右下プログラムPC
歪んだ遺留指紋や劣化指紋・片鱗指紋も自動照合できる最強システム。

鑑定/鑑定書作成

総合成績を解析(鑑定人による識別)

どんなに進化したプログラムでも、最終判断は鑑定人の「眼」で解析される。

番外編=世界最小・モバイルAFIS

モトローラ―製・モバイルAFIS・瞬時に身元の確認が出来る。

・・災害現場の救世主となれるか・・

モトローラ社といえば携帯端末のイメージが強いのですが、ビジネスの中核は「無線通信」「モバイルアプリケーション」「AFIS」です。

AFISの開発において、開発初期段階からモバイル化を提案していました。

随分前にその熱意を開発担当者からお聞きした事があったのですが、その頃の筆者のモバイルAFISのイメージは・・SF映画の世界のお話し・・そこに登場する虹彩識別装置や携帯指紋照合装置

・・ほんとに出来るのかなぁ・・そんな時代になるのかなぁ←本音(それが・・現実の警察に配備が始まりました。いまやSF映画やアニメの世界がどんどん現実になって来ています。

次は、きっと・・「あれ」・・ですよね・・

これらの科学捜査プログラムは、防犯の意味合いから警察と公認された研究機関にしか納められません。

また、独自開発しても、数々の特許に阻まれています。(これはアメリカ・イギリス・ドイツなど世界共通です)