指紋検出-粉末法
指紋検出 粉末法
指紋検出の粉末法は犯罪現場で最も広く利用されてきた方法です。
特製のブラシに付着させた粉末を、指紋が付着しているかもしれないと思われる部分に振り掛けるようにして、なぞって指紋を検出しようとする方法です。
粉末法のメカニズム
この粉末法を理科などで実験や体験をした記憶がある方も多いと思います。
では、うまく指紋採取できましたか?
よい返事は少ないと思います。
プロの世界(科学捜査)では、なぜ? あんなに綺麗に指紋採取できるのに・・。
と考える方は多いと思います。
そこで、指紋粉末法の極意を少しだけご紹介しましょう。
みなさんは、指紋の検出粉末って、なんだか知っていますか?
よく聞く答えは「アルミニウムの粉末とかでしょ」←おしぃ
プロの世界では「アルミパウダー」と呼ばれるものを使用しています。
同じジャン (`×´) プンプン!!
・・違うんです・・実は・・
↓
このアルミパウダーは「指掌紋検出専用に調合された試薬です」
ただのアルミニウムの粉末ではありません。
・・つまり別物です・・
なぜ専用に調合しないと指紋が綺麗に取れないのか。
まず、粉末法を知るには、検出する相手(指紋)が分からないと、どの試薬をどう使うか戦略を組み立てられません。
指紋の主成分は3つ、1.水分、2.脂肪分、3.ダスト
1.と2.は分かるけど・・なんだよ「ダスト」って
↓
警察では指紋押印用インクと呼ばれる物があります。これは綺麗に指紋を取るために作られた物です。
なぜ専用のインクを使うのか、他のインクと何が違うのか見てみましょう。
油性スタンプ台や朱肉では隆線が潰れて線影がみえていません。
これはマージナル現象と呼ばれるインクの回り込み現象が起きているためです。
もし、指紋の成分が水分や脂肪分だけなら油性スタンプ台や朱肉と同じになります。
ですが、ガラスや鏡、携帯電話の画面に付いた自分の指紋・・指紋インクと同じですよね
指紋インクはカーボンインクと呼ばれ「ダスト」の働きをしています。指紋インクと書かれているので液体と考えてしまうでしょうが、成分のほとんどが微細粉末です。
本物の指紋にも、ダストが多く含まれています。
このダストの存在こそ指紋には欠かせない要素となっているのです。
指紋の粉末法は、水分・脂肪分・ダスト、この混合物を検出しようとする方法なのです。
先に紹介した「鑑識用アルミパウダー」には化粧品などに用いられる、シリカやタルク、カオリンなどが調整し混ぜられています。
シリカの表面は超多孔性になっていて、指紋に含まれるダストをキャッチします。
そして、主成分であるアルミ微粉末を、繋ぐ役割をしています。
ですから、ただのアルミ粉末や小麦粉・ココアじゃ、鮮明な指紋の採取は難しい・・のです。
ある先生からの質問x
「同種のダストが多く存在・混在する状況なのに」
「なぜ、シリカなどが指紋ダストにのみ付着するのか?」
いい質問ですねぇ~ ←池上彰さん風
そもそも指紋の分類とは「生体試料」です。ヒトの試料は帯電しています。つまり微静電を帯びた状態です。
ドアノブや車などで「バチッ!」となる経験をした方は多いと思います。空気中のダストが指先に吸い寄せられ、皮脂と混合したものが指紋です。ですから、指紋も微帯電物と考えられます。
この理由から、指紋ダストのみに付着するという仕組みです。
なかなか深くて、おもしろいでしょ(^^
多くの理科学実験の失敗原因は、指紋を「油分だけ」だと勘違いしているからです。
理科学実験の際に、ひと手間加えると・・すごいのが・・取れますよ
色々実験して新しい検出試薬発明したら、アメリカやヨーロッパに売りに行きましょ♪その時は、お供させて下さい!
英文論文も書くし、通訳もしますょ(;
↑
やけに本気
・・・もしかしたら他力本願かぁ・・・(x_x;)シュン
指紋検出 粉末法による科学捜査
一見、パタパタと簡単そうに思える粉末法による遺留指紋の検出。実際の犯罪捜査官はどのようにしているのでしょう。
科学捜査とは考える、そして実行する事です。
そこに存在する物は、いったい何なのか、どうしたら見える様になるのか。
目的は被疑者の指紋があるかも知れない
(どんなに巧妙に準備しても、痕跡は消せない)
↓
あるとすれば、それは何か?
(どんな状態なのか考える、事件時間、被疑者行動、環境状況)
↓
どうすれば見えてくるのか
(持っている理科学知識・実験経験・記憶)
↓
失敗は許されません
(もし、この証拠を逃せば、次の被害者が出るかも・・)
↓
行動です
(集中し、一発で採取します)
もの凄いプレッシャーと戦いながら、緻密に、そして大胆に行動します。一般の人には目に付かない事件の裏側では、科学捜査官達のドラマがあるのです。
劣化資料から粉末法で採る!
(指紋の成分、ダストに着目した応用検出)
劣化資料といえる水没した資料
水分がなくても、脂肪分が劣化していても、ダストが残れば、指紋は採れます。
一昼夜台所にて水没後、ドライヤーで乾燥→イオン器で蘇生→(+内緒)→遺留指紋検出
ニュースでも、
川に沈んだ凶器からの指紋採取の結果・・・とか
港に浮遊していた漂流物にあった指紋が・・・とか
・・水分や脂肪分だけじゃない・・
・・指紋の秘密・・
つまり、資料状況が分かり、戦略を組み立てられれば、方法はある
と言えますよね
そして、この粉末試薬の研究・・驚くほど・・超高性能進化が進んでいます。
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