Firesciences

火災鑑定の方法

火災鑑定の方法

火災鑑定は、出火場所と出火原因の特定を目的とするものです。ですから、火災鑑定は実に広範囲な理科学知識を必要とします。
工学分野での建築学・都市計画学や理学分野である物理学・化学などを基礎知識とし、火災そのものの現象を科学的に再現していきます。

次項で、最新の火災鑑定に用いられる鑑定方法を2つご紹介いたします。

火災鑑定

火災物理

火災に伴う発熱や煙流動などの現象を物理学的に解析する方法です。
火災で残された建物や燃焼残渣、燃焼促進剤の痕跡などから数値解析を行います。そして火災を再現していきます。
このシステムは “University of Greenwich” の火災工学グループで開発されたものです。
実は「火炎・かえん」は生物のように酸素を求めて変化します。

代表的なものは「拡散火炎」「層流火炎」「乱流火炎」など、さまざまな状況で変化する火炎の研究は「火災流体力学」と呼ばれています。
これらの複雑な現象である火災を数値化し再現していきます。消防防災用に開発されたものですが、火災の原因究明にもその威力を発揮します。
そのため、最新の科学捜査にも度々登場するシステムなのです。

火災鑑定
火災鑑定

成分分析・性状解析

成分分析・性状解析

火災現場から複数箇所の燃焼残渣を採取し、各種科学分析機器によって成分分析・性状解析などを行い、燃焼促進剤の有無に対して科学的な裏付けを与える方法です。

分析機器 分析で判明する事
ガスクロマトグラフ ガソリン・灯油などの判明
液体クロマトグラフ 薬品の分析
薄層クロマトグラフ 溶媒に溶けだした物の分析
赤外分光光度計 有機物の同定
質量分析計 分子構造の解析
核磁気共鳴分析 分子構造の解析
蛍光X線分析計 個体の成分分析
X線分析計 結晶性個体の分析
示差熱分析熱 着火温度の測定
発熱量測定装置 燃焼カロリー測定

これらの分析は、出火原因の究明、延焼拡大の要因などを明らかにする事が出来ます。
例えば、石油ストーブが燃焼異常を起こし付近の可燃物に引火し火災になった場合。石油ストーブ本体とタンク、さらにストーブ付近の残渣の分析を行えば原因となる成分が検出されます。(例えば、ガソリンとかシンナーや繊維残渣などです)
不審物質が検出されなければ、本体異常の可能性が検討されるのです。

現在、科学的な火災鑑定で最も重要なのが、焼け跡からの燃焼残渣の分析です。
1970年代に開発された「ガスクロマトグラフ」この登場により火災鑑定は急激に進化しました。
それまでの火災鑑定では、「検知管」や、「水中投入法」や「ヒトの臭覚」など限られた方法しかなく、「ヒトの経験と勘」に頼る捜査が行われてきました。
ガスクロマトグラフが可能にしたのは残渣に含まれる成分の高精度な分析でした。

最新のGC-MS(ガスクロマトグラフィー質量分析)は高い検出感度と識別能力を持ち、数百万分の1gの燃焼促進剤の痕跡を見逃しません。
このGC-MSは、残渣の種類にによっては「数百万分の1g」までの含有成分を分析できます。