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筆跡鑑定

数値的分析法-筆跡鑑定

筆跡鑑定 数値的分析法

 現在、裁判所/警察/官公庁や上場企業から嘱託(依頼)される筆跡鑑定は、この数値的分析法です。

 筆跡鑑定における数値的分析法は、筆跡の特徴を数値化することで、文書や署名の真贋や一致度を判断する手法です。

数値分析-筆跡鑑定

 

 この手法では、筆跡を解析するためのデジタルツールが用いられます。まず、筆跡特徴を数値化し、それらの数値を比較することで、同一人物による筆跡かどうか、あるいは異なる人物によるものかを判断します。

 例えば、署名の筆跡鑑定では、筆跡を数値的に分析することで、偽造署名かどうかを判断することができます。真正の署名と偽造署名では、筆跡の特徴が異なるため、それらを数値化して比較することで、偽造署名である可能性を判定することができます。

 このように、数値的分析法は、従来の目視による筆跡鑑定とは異なる手法として、高い精度で筆跡の鑑定を行うことができます。

また、現在 裁判用資料として用いられる筆跡鑑定は、数値解析されたもの”だけ”です。

驚異の解析能力=数値解析

 数値的分析の研究は約20年前にも上ります。刑事案件では度々登場する鑑定法として知られ、民事案件でも、ここ2~3年急激に需要が増しています。

 数値的分析には高度な解析能力が存在しています。この方法の最大の特徴は、筆者(ヒト)の特徴がハッキリ異同識別できると言うことです。

 一般的な手法による筆跡の鑑定法は鑑定人による力量の差が出てしまいます。対する数値的分析は、読んで字の如し「数字」で解析します。ヒトの感情に影響され難い、または、最も冷静なもの、それが「数字」なのです。

 用意周到に準備された、偽筆(敷き写し、真似字、でたらめ字)など、ヒトの筆跡を真似たり、偽造したりした文字でも容易に判別してしまいます。

 民事訴訟に多い、偽造による遺言書などの署名文字の場合や匿名を装う怪文書などの文字は、筆者本人の親近者の場合が多いため、筆跡を真似しやすい状況といえます。

 表面上の筆跡は真似することが出来ても、筆跡本来のヒトの特徴は変えられません。
この、筆跡本来のヒトの特徴を識別する精度が著しく高いのが数値的分析法なのです。

筆跡鑑定に用いられる クラスター分析(クラスタリング)とは

 筆跡鑑定において、クラスター分析(クラスタリング)は、似た筆跡をグループ化する手法です。この手法では、筆跡の特徴を数値化し、それらを基に、似た筆跡同士をグループ化します。

 具体的には、例えば署名鑑定において、署名の筆跡特徴を数値化して、その特徴に基づいて、署名を書いた人物のグループを作成します。クラスタリングによって、同じ人物による署名が同じグループに分類されるようになります。そして、新たに鑑定された署名の筆跡を、すでに分類されたグループのどのクラスターに属するかを判定することで、その署名を書いた人物を特定することができます。

 クラスタリングは、従来の目視による筆跡鑑定とは異なる手法として、高い精度で筆跡の鑑定を行うことができます。また、大量の筆跡を処理することができるため、効率的に鑑定を行うことができます。

筆跡鑑定に用いられる 主成分分析とは

 筆跡鑑定において、主成分分析は、筆跡の多次元的な特徴を低次元の特徴に変換する手法です。この手法では、筆跡の各特徴を表す複数の変数がある場合、それらを組み合わせて新たな変数を作り出します。そして、それらの変数を使って、筆跡の特徴を低次元の特徴空間にマッピングすることができます。

 具体的には、例えば署名鑑定において、署名の筆跡特徴を数値化して、主成分分析によって、筆跡の数値データに複数の変数を組み合わせて、新たな変数を作成します。そして、その新たな変数を使って、署名の筆跡特徴を低次元の特徴空間にマッピングします。このようにすることで、複数の変数を低次元の特徴にまとめることができます。

 主成分分析によって、筆跡の多次元的な特徴を低次元の特徴に変換することで、よりわかりやすく、効率的に筆跡を分析することができます。また、多次元データの情報を失わずに、低次元データで表現することができるため、分析の精度を向上させることができます。

筆跡鑑定に用いられる SIMCA分析とは

 筆跡鑑定において、SIMCA(Soft Independent Modelling of Class Analogy)分析は、筆跡データをクラスごとに分類して、それぞれのクラスの特徴を抽出する手法です。この手法では、クラスごとにデータの分布をモデル化し、それらを比較して、未知のデータがどのクラスに属するかを判定することができます。

 具体的には、例えば署名鑑定において、署名の筆跡データを複数のクラスに分類して、それぞれのクラスの特徴を抽出します。そして、SIMCA分析によって、各クラスの特徴をモデル化し、未知の署名がどのクラスに属するかを判定します。

 SIMCA分析は、データの分布をモデル化することによって、未知のデータがどのクラスに属するかを判定することができます。また、モデル化された各クラスの特徴を比較することで、それらがどのように異なるかを明確にすることができます。このように、SIMCA分析によって、筆跡鑑定の精度を向上させることができます。

筆跡鑑定に用いられる 重回帰分析とは

 筆跡鑑定において、重回帰分析は、複数の変数(筆跡の特徴)と結果の関係を分析する統計手法の1つです。つまり、筆跡の複数の特徴を説明変数として取り出し、それらの特徴が結果にどのように影響するかを分析することができます。

 具体的には、例えば署名鑑定において、署名の筆跡特徴を説明変数として取り出し、その署名が本人のものかどうかを判定する結果を目的変数として取り出します。そして、重回帰分析によって、複数の筆跡特徴と本人判定結果との関係を分析します。

 重回帰分析は、複数の変数を同時に分析することができるため、複雑な筆跡の特徴を分析する場合に有用です。また、説明変数と目的変数との関係を定量的に評価することができるため、筆跡鑑定の精度を向上させることができます。

筆跡鑑定に用いられる 数量化理論第Ⅳ類とは

 数量化理論第Ⅳ類(Quantitative Trait Loci, QTL)は、生物学の分野で用いられる遺伝解析手法の1つですが、筆跡鑑定にも応用されることがあります。

 QTL分析では、特定の形質(ここでは筆跡の特徴)に影響を与える遺伝子座(QTL)を特定し、その遺伝子座と形質との間の遺伝的相関を解析します。つまり、筆跡の特徴と遺伝子の情報との関係を解析することができます。

 具体的には、例えば筆圧や筆記速度など、筆跡に影響を与える遺伝的要因を解析することができます。また、QTL分析によって、筆跡特徴がどのような形質遺伝子によって制御されているかを特定することができます。

 QTL分析は、遺伝的な要因に基づいて筆跡の特徴を解析することができるため、筆跡鑑定の精度を向上させることができます。ただし、QTL分析は比較的高度な遺伝統計学的解析を必要とするため、専門的な知識が必要とされます。