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筆跡鑑定

視覚的分析法-筆跡鑑定

筆跡鑑定 視覚的分析法

視覚的分析法は目視検査法と言い換えることも出来ます。

視覚的分析法-筆跡鑑定

 

 この検査方法は世界中で様々な、そして同様な検査研究が進められています。

 鑑定人による特徴点抽出は、文字の形態の特徴だけではなく、運筆の方向や筆順などの書字運動に関する情報も個人の特徴としてとらえることが出来ます。

 そのために、筆者識別にマッチした検査方法と広く認識されています。

筆跡鑑定における 視覚的分析法とは

 筆跡鑑定における視覚的分析法とは、筆跡の形状、サイズ、傾き、筆圧などを筆跡鑑定人の目視で評価する方法です。

 この方法では、筆跡を比較対象として、細かい筆跡の特徴を直接見比べて、本人が書いたか否かを判断します。具体的には、書字の形状などの視覚的な特徴を評価します。

 視覚的分析法は、筆跡鑑定の基本的な手法の1つであり、鑑定人の経験や技能に依存するため、主観的な判断が入りやすいという欠点があります。しかし、鑑定人が適切な訓練を受け、十分な経験を積んでいる場合には、高い精度で筆跡を鑑定することが可能です。

 視覚的分析法での最大メリットは、経年による震えの場合や交通事故などで、極端に書字行動が変化した場合などの個人内変動が大きく観察される場合でも、適宜補正を行うことで鑑定が行えることもあると言うことです。

筆跡鑑定における 視覚的分析法の問題点

いわゆる伝統的な筆跡鑑定法の問題点とは

 いわゆる伝統的な筆跡鑑定法には、以下のような問題点が指摘されています。

 ① 主観性が高い:視覚的分析法では、鑑定人の経験や技能によって判断が左右されるため、主観性が高くなります。同じ筆跡でも、鑑定人によって評価が異なることがあります。

 ② 言いがかりにつながる:筆跡鑑定が行われると、書いた人とは別の人が書いたと主張することがあるため、鑑定結果が言いがかりにつながることがあります。

 ③ 技術の不十分さ:適切な訓練を受けていない鑑定人が行った場合、正確性が低下することがあります。

 ④ 誤判定のリスクがある:筆跡の特徴が似た人が複数いる場合、誤判定のリスクが高くなります。また、筆跡の特徴が似ている人が異なる文章を書いた場合、同一人物と判定される可能性があります。

 以上のような問題点があるため、近年では、数値的分析法を用いた客観的な鑑定方法が多くの場面で採用されています。

筆跡鑑定における 視覚的分析法の利点

 筆跡鑑定における視覚的分析法の利点は、以下のように挙げられます。

 ① 迅速な判定が可能:視覚的分析法は、鑑定人が筆跡の特徴を直接見比べて評価するため、迅速な判定が可能です。

 ② 経験や技能に基づく高い精度:鑑定人が適切な訓練を受け、十分な経験を積んでいる場合には、視覚的分析法によって高い精度で筆跡を鑑定することが可能です。

 ③ 鑑定費用が比較的低い:数値的分析法に比べ必要な機材やソフトウェアの費用が低く、鑑定費用を抑えることができます。

 以上のような利点があるため、視覚的分析法は筆跡鑑定において重要な手法の1つとなっています。