車両火災の原因
車両火事の原因についてご紹介します。
総務省消防庁刊行の「令和4年版 消防白書」によると、令和4年の総出火件数36,375件中、車両火災は3,414件発生。全体の10%近くを占めていることがわかります。
原 因 | 内 容 | 構成比 |
---|---|---|
1)排気管 | ・エキゾーストマニホールド・メインマフラー | 17.4% |
2)交通機関内配線 | ・短絡・スパーク・衝突による発火等 | 10.0% |
3)電気機器 | ・電装品など電源配線のショート | 8.2% |
4)放火(放火の疑いを含む) | ・燃焼促進物による放火 | 5.2% |
5)たばこ | ・ゴミなどの可燃物からの引火 | 4.0% |
6)電気装置 | ・モーター系・バッテリ系統(※) | 3.2% |
7)内燃機関 | ・燃料・オイルの漏れ・オーバーヒート | 3.1% |
その他 | ・その他に調査中であったり不明なケース | 38.3% |
(※)EV車両の火災件数について、当社のデータは2022年(令和4年)までのものであり、最新のEV車両の火災情報を待っている状態です。ただし、EV車両の火災に関する報告や関心は、過去数年間で増加していることは一般的に知られています。
(※)EV車両の火災事故がどのように増加しているかについては具体的な統計データが必要です。メーカーや関連する機関が定期的に火災事故のデータを収集・分析し、公表している場合がありますので、それらの情報源を確認することをおすすめします。
原因=放火
放火で、最も多いのが保険金をめぐるトラブル、その次はイタズラ等によるものです。では、なぜ放火犯は大事な自車に火を付けるのでしょうか?
それは、意外にも保険金が簡単に手に入り易いと考えられているのが車両火災だからです。
車両火災が起こると、多くの場合「損害調査人」が見積調査を行います。「損害調査人」は各保険会社が提携する損害調査会社に所属し、車両の火災状況から保険金の見積を行います。
火災の原因を調べる「火災鑑定人」や被保険者や関係者を調べる「背景調査人」と異なり、彼ら「損害調査人」の仕事は、あくまで「火災の損害額を査定すること」なのです。
ですから、その車両火災が「失火」なのか「放火」なのかまたは「車両の問題」なのかの調査は行われません。
保険会社やメーカーなどが疑問を持つ車両火災のみが「火災鑑定」に回されます。
私たち鑑定機関に依頼が来るのは、無数の車両火災のほんの一部なのです。
メーカーが最も気を使い検証が行われるのは、発売まもない型の新車両から発生した車両火災の場合です。
車体自体の問題なのか、又は運転者・整備者などの人為による問題なのか徹底検証されます。リコールに発展する可能性を検証するため細部に渡り検証が行われます。
原因=金属と金属の衝撃花火
金属同士の接触などで発生した花火が可燃性のガスに引火する現象のことです。
殺虫剤やカセットボンベなどのエアゾール缶には圧縮された液化石油ガス(LPG)やジメチルエーテル(DME)などの可燃性ガスが噴射剤として充填されていて、それらがゴミ収集車内で圧縮され漏れ出します。
それらの漏れ出したガスに缶同士の接触花火によって引火するのです。
原因=排気管・車両関係
排気管からの火災は車両火災全体のTOPです。出火場所の多くはエキゾーストマニホールド、メインマフラー、ブレーキ系統です。
エキゾーストマニホールドは集合管と呼ばれる場所で、車両設計において、走行中高温になることが予想される部位です。
そのために、2重・3重の安全対策が施されており、通常使用では出火することはありません。これは、メインマフラーも同様です。
火災鑑定に持ち込まれ分析を行うと、ほとんど場合、繊維片の燃焼残渣が発見されます。つまり、ガソリンなどの着火物が漏洩し、整備などでの可燃物の置き忘れと言う可能性が高くなります。
ブレーキ系統も、通常使用では出火することはありません。整備不良や経年劣化、オイル漏れや異物の巻き込みなどの理由により、出火します。
原因=内燃機関
これは燃料・オイルなどが漏れることにより、出火する現象です。
当然ですが車両設計において徹底的に安全対策が施されています。
車両火災鑑定で出火場所が内燃機関であれば、外的因子の可能性が検討されます。
一般的に、経年劣化による漏れ、外的因子である破損や巻き込みが考えられるからです。
また、出火場所が内燃機関であると特定された場合は、今までの事故記録データ照会を行い、同様の車両火災が発生しているかが検討されます。
原因=電気関係
電気関係が原因となる車両火災の多くはモーター系統が関係しています。
これらは経年使用による絶縁劣化、接続部の緩みや取り付け不良によるものが大半を占めます。
この理由として、配線が不完全状態のために、プラス電極が車体のボディーアースに接触し火花が発生、可燃物に引火するのです。
電気関係が車両火災の原因とされる多くの車両の特徴は、自分で部品を取り付けるユーザー車である場合が多いようです。
よくある質問-車両火災の原因
- 車両火災の原因を特定するためには、どのような手法を使用しますか?
まず火災現場の調査を行います。鑑定人は証拠の収集や目撃者からの証言の収集を行います。また、火災が発生した車両の内部や周囲の環境を調査し、異常や火災の痕跡を探します。物理的な証拠や化学分析、電気系統の調査なども行われます。
これらの手法を組み合わせて、車両火災の原因を特定しようとします。
- 車両火災の原因を特定するためにどのような証拠が重要ですか?
車両火災の原因を特定するためには、さまざまな証拠が重要です。
例えば、火災現場での火の広がりや焦げ跡のパターン、電気系統の配線の状態、燃料系統の検査結果、火災前の車両のメンテナンス記録、目撃者からの証言などが重要な証拠となります。
また、成分分析による残留物の検査や燃料漏れの痕跡の検出も行われる場合があります。
- 車両火災の原因が特定された場合、それに関連する責任の追及はどのように行われますか?
車両火災の原因が特定された場合、責任の追及は法的な手続きによって行われることがあります。
鑑定結果は警察や保険会社、裁判所など関係する機関や当事者に提出され、その結果に基づいて判断が下されます。
証拠や鑑定結果が訴訟や保険請求などの証拠として使用されることもあります。
- 車両火災の原因が特定された場合、予防策はありますか?
車両火災の予防策としては、以下の点に注意することが重要です。
まず、車両の定期的な点検やメンテナンスを適切に行い、電気系統や燃料系統に問題がないか確認します。
また、不適切な修理や改造を行わず、信頼できる専門家に依頼することも重要です。
さらに、火気を扱う際には注意し、車内での喫煙や可燃物の取り扱いには慎重さが求められます。
車両火災用の車載消火器や車内からの緊急脱出ハンマーの設置も考慮すると良いでしょう。