Column

音声/声紋鑑定

音声の個人性

音声の個人性

人々の顔が十人十色な様に人の音声も異なります。

では、なぜ人の声には各人で違いが出るのしょう。

人音声の仕組み

声の原理は肺から送られた空気が声帯を通過し喉を経由し口又は鼻を抜け聞こえてきます。
音声とは、声帯から発する音が気道や口鼻腔で共振することにより形成されます。
一見単純にみえる声のしくみですが実は様々な要因が重なっているのです。

トランペットのマウスピースだけの音を聞くと「ぶ~・ぶ~」と聞こえます。このマウスピースを本体に付け、吹くと皆さんご存知の美しい音色に変化するのです。

不思議な事に、人の声も、仕組みはほとんど一緒なのです。
実は、人の声帯だけから発する音を聞くと「ぶ~・ぶ~」としか聞こえません
この「ぶぅ~」という音が喉、口、鼻を経由し美しい人声になるのです。

声の仕組み

この人声の科学的現象は、複雑で神秘的なものなのです 少しだけ詳しく書いてみると、人の声とは、肺から出た空気により声帯振動を起こし、気道や鼻腔、唇・舌・歯・顎・頬で構成される口腔で共振させることにより、音声に変わり、声として聞こえてきます。

声帯や喉の大きさ、鼻腔の大きさや位置その他の諸器官の差など人の声には、単に「音声」と呼ぶにはそぐわない複雑な物なのです。

この人声として聞こえてくる音は人によって複雑に変化します。
なぜなら、同じ声帯、同じ喉、口、鼻の方は居ないからです。
(良く兄弟や親子は声が似て聞こえるのは、この気管が似ているからなのです)
その複雑さゆえ、「人の声は千差万別」となり、個人の識別、特定が可能となるのです。

ヒトの調音器官

音源を発声し、音声(言語音)というものを生み出す。
それぞれの器官を調音器官と呼びます。

ヒトの調音器官は、咽頭、口腔、鼻腔、などから成っています。

ヒトの音源には、「声帯音源」「乱流音源」「破裂音源」があります。

「声帯音源」声帯は通常の呼吸時には広がっていますが、母音・有声音を出すときに狭まります。そして呼吸と相互作用により持続的な振動を起こし、呼吸流を弁のように断続します。その結果、呼吸流はほぼ周期的で脈動的な圧力粗密波に変調します。
「乱流音源」歯茎や舌、口唇と歯などによって形成される狭い空間を呼吸が流れるとき、層流から乱流に変わり、その狭い空間を通り抜ける時に乱流音が生じます。
「破裂音源」口唇や舌などで声道が完全に閉じられ状態で呼吸がたまり、その圧力が上昇していくと、ある限界に達したとき破裂がおこり破裂的な音を発します。
「声道」声道は、ヒトの声帯より発せられた音が、体外に放出されるまでの間に通過してくる、体内の空洞(空気が流れる道)のことです。この声道が音声を複雑化し様々な音色を作り出します。

ヒトの声と音波

ヒトの声は調音器官によって、空気に粗密を与えることよって作り出される音波です。

ヒトの声は、音波として大気中に直接あるいは音響機器または電話機などを用いて、聴きて(相手)に音波として伝えられ、相手はその音波を言語処理能力によって内容を理解します。

音波は、空気やその他の物質中を伝搬する波、つまり波動です。

波動は大気中の空気が粗密の圧力変化が生じています。
空気が密のところでは、圧力が大気圧よりも高くなり、粗のところは低くなります。

この波動は、空気中を時間と共に一定の速度で移動していきます。
(この速度を音速と呼ばれています)

音波の物理的性質を表す基本的な量は、その強さと周波数です。
そして、これらの音波は電気工学における交流電圧・電流を扱うときと同様な処理が可能になるのです。

これらのように、音声鑑定や声紋鑑定では、ヒトの複雑な音声(声)を解剖学や法医学の観点から、電気工学や情報工学の技術を用いて、音の強さや周波数を分析することで、その個人性を探しだし、識別しているのです。