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音声/声紋鑑定の歴史

音声/声紋鑑定

音声(声紋)鑑定は、軍事需要により開発された近代鑑定法とされています。
ヒトの声には声紋として記録できる優れた個性が存在しています。この声紋は、サウンド・スペクトログラムという装置を用いて声紋検出を行います。

科学捜査に於ける利用は1960年代まで遡ることが出来ます。殺人事件や誘拐事件・脅迫事件、麻薬取引やテロなどでは、捜査・証拠となる資料が、被疑者の音声だけに限定される場合も珍しい事ではありません。
ですから、音声鑑定は様々な場面で活躍する鑑定法なのです

音声鑑定

音声/声紋鑑定の歴史

声の鑑定が法廷に、始めて登場したのは1932年の米国だと記されています。

1927年「NY→Paris」間を、世界で初めて大西洋無着陸単独横断飛行を成功させ、多額の成功報酬を受け取り、「世界的英雄」になった「チャールズ・リンドバーグ氏」

チャールズ・リンドバーグ氏
のチャールズ・リンドバーグ氏の子息が 身代金目的のために誘拐され、殺害された事件において、犯人特定のために「犯人の声を聞いた人物」が法廷において、証言したものが音声鑑定の始まりとされています。

当時は、現在のように声紋を分析し比較するといった物ではなく、犯人の声を聞いた証人が、どの程度信頼できるかと言うことが争点になってしまい、父親であるリンドバーグ氏の心を深く傷つけた法廷内容となってしまったそうです。

実際に声(音)を科学的に解析・研究される様になったのは、1930年代、軍事利用目的によるものでした。

当時、アメリカ軍が敵国の軍事通信士による交信を傍受/補足し、音声学的に個人の特徴を分析・識別、それによって特定した通信士の、発信箇所、移動を補足し追跡します。敵軍の行動を探知・把握することで、アメリカ軍に有利な作戦を立てたのでした。
音声(声紋)の研究には、多額の予算が組まれ、暗号・通信・伝送の科学技術が加速して行きます。

そんな研究者の中に、より高精度な解析装置の開発に取り組んだ科学者がいました。R.K.ポッター博士。
ポッター博士は、秘話装置・暗号解読での研究が有名な科学者でした。

この、ポッター博士がアメリカの「ベル研究所」へ向けた1944年に作成された「ボイスプリント・アイデンティフィケイション」と言う報告書の中に
~敵軍の無線電話を傍受し、その音声(声紋)をスペクトログラムによって識別出来れば~
~敵軍の移動状況や軍の状態が直接・詳細に知ることが出来る~
と書かれています。
そして、その翌年1945年、ベル研究所が最初の「周波数分析装置=サウンド・スペクトログラム」の開発に成功しました。

この開発に携わった、ベル研究所のカースタ博士が「声紋に関する個人の識別」に関する論文を「科学誌・ネイチャー」に投稿。世界発表されました。そして、多くの科学達による検証と応用が開始されました。

第2次大戦後、音声(声紋)の研究は一時中断します。
しかし、1950年~1960年代に起きた航空機爆破脅迫事件が引き金となり、米国司法当当局の要請を受けベル研究所が音声(声紋)の研究を再開させました。
そして、平和利用を目指し、医療分野、科学捜査分野への利用が始まりました。
日本国内においては、1954年頃から、ベル研究所で開発された「サウンド・スペクトログラム」が輸入され、医療研究者や警察研究者が研究を開始しました。

現在では、コンピューターの小型化と高速度処理能力に後押しされ、高性能ソフトが開発され、複雑な音声を周波数分析し紋様化した声紋を解析されています。

音声鑑定技術の最前線!

音声解析や画像解析など、記録物がアナログからデジタルデータに置き換わり、解析技術の進化速度は、F1スポーツカー並みの速度になっています。一般的に、ある科学研究分野で、論文が発表されると、数年後に様々な分野で応用され、常備薬や日用品や家電製品などに製品化され、人々の手に渡ります。

ですが、デジタル解析分野の世界で、研究論文発表とほぼ同時に、実用化されている国が存在します。
それは、イスラエルです。
イスラエルは、様々な科学研究分野に深く精通し、特別な理由により実用化が急速に進められています。

ご存知のように、イスラエルはイスラム国家に囲まれている国で、何度もの中東戦争を経験しています。
音声解析技術や画像処理技術などのデジタル解析分野は軍事利用のために応用され、製品化する科学技術が急激に進化を遂げています。
会議や会談を録音し解析する音声処理技術、解析装置や偵察した写真の解析装置や画像処理技術などが劇的に発達したのです。
イスラエル製のスーパー解析機達の性能は、極めて・本当に・超・超高性能です。
(あくまでスーパー解析機のお話しです)← お問い合わせがあったので

このスーパー解析機は、コスト度外視、高性能重視で設計/製作されているため、本体価格は「数十億円」、1検査に掛かるコストが「数百万円」するスーパー解析機達もザラに存在します。この様なスパー解析装置達は、当然ですが機密扱いの輸出/輸入規制対象となり、民間及び一般では入手困難です。

しかし、現在の進化速度を考慮すれば、民間研究所や大学研究室でも手が届く数千万クラスの超高性能解析装置の出現も間近かも知れません。
『戦争は科学を飛躍的に発達させる』と何かに書いてありました。
悲しい事なのですが、その通りの一面もあるのかも・・。