どんなに用意周到に計画された犯罪でも、“足跡”が現場に残されるケースは多いのです。
真実を裏付ける最新の科学捜査方法です。
足跡の科学は、大きく別けて2種類
一つは、現場に残された足跡が誰の足跡だったか調べる科学
もう一つは、足跡を調べ、その場所で何が起きたのかを調べる科学
各研究は、異同識別科学と行動法科学に分類されています。
足跡の種類
①立体足跡=土や砂、雪など、軟らかい土壌などに残された立体的な足跡
②平面足跡=床やコンクリートなどに平面的に印象された足跡
※潜在足跡=目に見えない足跡 (見える足跡は、顕在足跡と呼びます)
足跡の採取方法
よく知られているのは「石こう法」では、ないでしょうか。実際には、足跡の採取の方法は、たくさんの方法があります。
代表的な採取方法をご紹介します。
写真撮影法 | 赤外線、紫外線をあてる方法、その他、数多くの方法があります |
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石こう法 | 足跡に石こうを流し込み固めて採取 |
ゼラチン転写法 | 足跡の印象面に圧迫して採取 |
静電気法 | 床類だけではなく、布団やジュータンからも採取できる |
ポリラックス法 | ゼリー状のものを固めて採取、畳やブロックからも採取できる |
DIP法 | 試薬による検出方法、布や紙類に効果的 |
チオシアン法 | 鉄分に反応する試薬法、タイヤ痕跡も採取可能 |
3D スキャン法 | スーパーインポーズ法により3次元撮影し解析する |
この足跡研究の分野も画像解析の進歩に伴い、以前では考えられなかった精度を確立してきています。
ALS-科学捜査用ライト
目に見えない潜在足跡が見えてくる。
各種の事件現場はもちろん、火災現場からの足跡も発見し採取出来る。
靴底の本当に僅かなキズや、靴底に付着していた微物を精査する事で、個人の特定や、どこを経由して、その場所にたどり着いたか、などより複雑な識別が可能になってきています。
科学捜査の分野では、足跡やタイヤ痕など現場に残された証拠を3D解析法などを用い画像解析する方法が世界中で研究されています。
この画像解析法は、わずかな窪みや目に見えない足跡でも解析が可能です。この解析法により、その現場などで、どのような事実が起きたのか、詳細に解明することが出来るようになってきています。
足跡から何が解る?
犯行
①人数が解る (その現場に人は何人いたのか)
②場所が解る (侵入待ちをした場所、侵入口、犯行の状況、逃走口、逃走方向)
犯人像
③靴底の形が解る (靴の種類、メーカー、特殊な職業)
④靴底の状況が解る (犯人の身長、性別、その他)
⑤犯行の状況が解る (歩いたのか、走ったのか、飛び降りたのか)
⑥場所の特定が解る (足跡の微物を科学検査する、どこの土砂や植物など)
法科学=犯行の再現
1.マッピング
足跡の位置をデジタル計測し、縮小地図に足跡をマーキングする。
クラスター分析、多変量解析などを行い、第三者の足跡を排除する。
これらの分析結果より、被疑者だけの行動を科学することが出来る。
2.交差法で撮影された画像データをコンピューターで3D解析する
分析方法は、航空写真や衛星写真を解析して地図を作る画像工学システムを応用し、 3次元スキャナを用い足跡を計測して行います。
目に見えない、わずかな足跡もデータ増幅することで、鮮明に見えてきます。
3.足跡からの微物採取、分析する
足跡には微細な成分が付着しています。 ←これを微物分析します。
微物分析-足跡鑑定
もし、足跡痕から発見された微物と被疑者の靴底から採取された微物が同じならば、この靴の持ち主は、その現場に居た、と推認する事が可能になります。
さらに、足跡からの微物分析を行うと、特定の場所の成分や、特定の住宅にしか存在しない物質なども発見される場合もあります。
つまり、犯行前の行動や、生活環境の一部まで予測する事が出来るのです。
科学捜査の最前線はDNAだけでは、ありません^^
・・・最前線の足跡鑑定は、いままでの常識を越えているかも・・