麻薬・薬物・毒物 の種類と症状
薬毒物による中毒症状は、外表面や内部所見から、薬毒物中毒と判断できるのは、ごく一部の薬毒物だけなのです。
近年国内では、覚醒剤や危険ドラッグ・大麻などが関係している可能性がある事件も、Web上にあふれ、低年齢化・一般人化も進んでいます。欧米では規制薬物乱用による事件が早期から拡大し、対策に対応してきました。医学分野ではPsychiatryの分野で薬物使用時に発生する症状やその治療法、社会復帰までのリハビリにわたるまで多くの研究がされてきました。
薬物乱用
薬物依存者ならば、行動異常が出るので、普通の生活は送れません。実は、一般人での薬物使用者が一番怖いのです。普通に生活していますが、突然考えられない異常な行動を起こします。しかし、その異常な行動を起こまでの間には長期間の『見えない薬物使用』が潜んでいます。身近な人から勧められ、軽い気持ちで少量の薬物使用から始めた場合、周りからわかる症状は出ない場合が多いです。そこから徐々に頻度が増え、使用量が増え、抜け出せなくなっていきます。
最悪の場合、事故を起こしたり、犯罪を犯したり・・・。
乱用薬物は、薬物を乱用した本人だけの問題ではなく、家族を含めた多くの人々の人生を不幸にしています。
企業などではクライシス・マネージメント(企業の危機管理)の一つとして従業員に対し薬物検査を行う事業主も出てきました。
覚せい剤&麻薬の中毒症状
覚せい剤は興奮作用をもたらします。その兆候として、多弁・多動・振せん・不安・不眠・けいれん・常同行動などが見られます。
覚せい剤&麻薬中毒者には、幻覚・妄想などの知覚障害・思考障害・感情障害・意識障害・行動障害を示します。
少し解りやすくご説明すると、異常行動を起こしやすい状態です。
そして、興奮作用が収まると「昏睡」に落ち入ります。
(英文では、揺すっても、叩いても起きないほどの深い昏睡状態と書かれています)
一般の人は生活リズムで睡眠時間を決めていますが中毒者は薬物が生活リズムを決めています。
ですから、中毒者は急な無断欠勤や会議中の居眠りなど睡眠コントロールが出来なくなります。
別に中毒者は、自分が「幻覚妄想状態」に落ち入ったり「躁うつ状態」に落ち入る事を、知っています。
そのような場合、薬物摂取後、個室に籠もる傾向が見られます。
さらに進むと、「せん妄状態」になって「錯乱」が起きます。こうなると個室から出て対外問題が生じやすくなります。
また、欧米では「フラッシュバック」と呼ばれる症状で犯罪を起こすケースも確認されています。
過去に習慣性薬物を使用し、幻覚や妄想状態を経験した人物が薬物を使用していないにも関わらず、何らかの誘因で幻覚や妄想状態に落ち入ります。
これをフラッシュバックと呼びます。
これが、最も怖いケースです。
一般生活を送り、仕事中にフラッシュバックが起こる
または、家族と一緒の時にフラッシュバックが起こり事件を起こしてしまう。
フラッシュバックの誘因は、習慣性薬物の再使用や飲酒、または、他の薬物(風邪薬など)の使用。さらに、ストレスや疲労が引き金になることも知られています。
麻薬・薬物・毒物 の影響と考えられる臨床症状
臨 床 症 状 | 薬 毒 物 |
---|---|
中枢神経症状 | |
昏 睡 | 麻薬・睡眠薬・麻酔薬・有機溶剤・一酸化炭素・アルコール |
昏 迷 | 覚醒剤・コカイン・バルビツール酸・四エチル鉛・ヒ素 アルコール・一酸化炭素・きのこ毒 |
麻 痺 | クラーレ・アルコール・ふぐ毒(テトロドトキシン)・ヒ素 |
頭 痛 | 硝酸塩・ニトロベンゼン・一酸化炭素・アニリン |
呼吸器症状 | |
呼吸抑制 | 麻薬・青酸塩・バルビツール酸 |
呼吸困難 | 青酸塩・塩素ガス・一酸化炭素・ふぐ毒(テトロドトキシン) |
呼吸促進 | 覚醒剤・コカイン・アトロピン・ストリキニーネ |
呼吸臭気 | フェノール・青酸塩・クレゾール・アルコール |
循環器症状 | |
血圧低下 | クロルプロマジン・バルビツール酸・亜硝酸塩・抱水クロラール |
血圧上昇 | 鉛・ニコチン・エピネフリン |
除 脈 | ピロカルピン・ジギタリス |
頻 脈 | 覚醒剤・アトロピン・エフェドリン |
嘔吐・腹痛 | 腐食性毒・重金属・有機リン・きのこ毒 |
流 涎 | 水銀・有機リン・有機フッ素 |
瞳の症状 | |
散 瞳 | 青酸塩・一酸化炭素・有機塩素・アトロピン |
縮 瞳 | 覚醒剤・麻薬・モルヒネ・バルビツール酸 |
※この他にも症状の報告はございます。専任担当者にお問い合わせ下さい。
薬物検査・麻薬検査の研究者が語る「麻薬を止められない理由」
薬物使用で逮捕された人が、再び薬物に手を出してしまうケースは少なくありません。特に覚せい剤の場合、再犯確率は50%を超えています。
(よく病気だから仕方がない・・と言う方がいらいっしゃいますが “犯罪” です)
では、なぜ薬物使用者は依存症になりやすいのでしょう。
脳内には、感動したり、爽快感を覚えた時に、快感物質と呼ばれるドパミンが放出されます。覚せい剤やコカインにはドパミンを強制的に放出される作用があります。常用すると、脳内にはドパミンが溢れた状態が続きます。するとヒトの体は、バランスを取るために、ドパミンを抑えるようになります。
薬物が体内から無くなると、ドパミンは平常値より極端に減少してしまいます。すると、日常生活では、イライラや不安感・恐怖感が倍増(激増)するようになります。薬物で強制的に放出されたドパミンは、自然な状態に戻るには相当な時間が必要になります。
この恐怖感覚が長く続く事で、耐え切れず、再度薬物を手にしてしまう事になるのです。