交通事故鑑定・解析・調査

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【巻き込み死亡事故】

 

車両には、巻き込みが生じやすいタイプの車と、生じにくいタイプの車があります。

 

 

いわゆるボンネット型の普通車は、

衝突と同時に体躯がボンネット上に乗り上げますので、

巻き込みはワンボックス車やトラックに比べて発生しにくい傾向があります。

 

しかしながら、巻き込みが絶対に起きないという事ではありません。

 

ただでさえ車高が低いスポーツ車を、更に車高を下げた改造車でさえ、

成人男性を巻き込む事故もありました。

 

そもそも普通車は、四本のタイヤで、車底部に空間があるため、

車体底部に人間が巻き込まれる事態に至ることは、構造上、どうしても避けられないのです。

 

 

では、どういう状況の時に巻き込み事故が起きやすいのか?

次に考察してみましょう。

 

①速度

以外に思われるかも知れませんが、高速時より低速時の方が巻き込みの危険は大きいのです。

高速であれば、人体は跳ね飛ばされますが、これが低速ですと、路面に倒れ込み、そのまま轢過されて、巻き込まれてしまうのです。

また、制動をかけていれば、自動車は前方が沈むノーズダイブ現象が起きますので、巻き込まれる危険性は軽減されます。

すなわち、ブレーキをかけていない、「のろのろ運転」の状態に於いて最も巻き込み事故が起きやすい条件が整います。

ドライバーにしてみれば、低速なので事故を起こさないという先入観が働く速度といえるでしょうが、実は全くの逆で、巻き込み事故の危険は高まるのです。

 

②自動車の素材

一昔に比べて、自動車の素材は合成樹脂の比率が高くなり、軽量化が進んでいます。

重い車体より、軽い方が断然燃費がいい。更に、自動車の製造コストも安くなります。

また、軽量化することで、車が柔らかくなり、事故時の衝撃をより吸収することで、搭乗者の生存率が高くなる

燃費・製造コスト・搭乗者安全性 一見すると、いいことずくめ なのですが、実はここに落とし穴が・・・・・・

 最近の車のバンパーはポリプロピレン製。

これは食品を入れるタッパーと同じ素材で、軽いだけでなく柔らかくて弾力性があるのが特徴です。

自動車のバンパーを手で押しただけで簡単に凹みますし、すぐに元に戻る、かなりの弾力性があるので、少々の衝撃はバンパーが吸収します。

以前に比べて、安全性が増した反面、運転者が体感する衝撃が半減することにより、仮に人とぶつかってもその衝撃を体感しにくいという危険も内包しているのです。

たとえ、僅かな衝撃にしか感じられなくとも、人体には大きな損傷を与えてしまうことも少なくありません。

 

③確証バイアス

人間は物事を自分の都合がよい方に解釈する傾向があり、自らの予測を強めるような情報を選択して取得しやすいという認知様式があります。

これは確証バイアスと呼ばれるもので、先入観に判断が左右され、正確性を欠いてしまう現象です。

悪徳商法や振り込め詐欺の被害も、これら確証バイアスに狂いが出たことによって生じているといって過言ではありません。

自分自身は騙されていない! という思い込みに過ぎないのですが、この思考の流れを整理すると概ね以下のフローになります。

 

 

自分は今まで騙されたことがない(運がよかっただけです。)

騙されるような悪いこともしていない(騙す側からすればそんなの関係ありません。)

私は騙されていない筈だ(そんなことはありません)

ここで、騙されたかも知れないという思考は完全に黙殺されて、詐欺グループの意のままにお金を振り込んでしまう。

 

では、巻き込み事故に翻って考えてみましょう。

なにかコツンと当たったかな? (音がした以上は何かあります)

ゴミでも踏んだかな? (人の可能性があります)

スピード出してないから大丈夫V (低速でも事故は起きます。)

今まで無事故だしぃ (それとこれとは関係ありません。)

たいした事ねぇやぁ (そんなことはありません)

行っちゃえぇぇぇぇ! (救護義務違反成立! 逮捕~!)

 

実際の交通事故を調査した案件では、こういったケースが目立ちました。

 

ひき逃げは衝突に気づかなかったからと言って、

許されるものではありませんし、

罪もさほど軽くなりません。

 

「どこでブレーキを踏んだか言ってみろ」と、お巡りさんから、手錠に腰紐で、

衆人環視の中現場検証を受けねばなりません。 絶対!

 

最初に車を止めて確認さえすれば、

・・「痛てぇな! この野郎!」・・

この程度で、済むことも少なくないのです。

 

最近の車は、特に衝突の衝撃が感じにくい構造になっています。

また、何の車種であろうと巻き込み事故は起こりえます。

 

たとえ、僅かな衝撃にしか感じられなくとも、

人の体には、重大な損傷を与えてしまうこともあります。

 

何か異常を感じたら、必ず車を止めて確認して下さい。

 

・・・あなた自身が殺人者にならないためにも・・・

 

2008/10/22

 

 

東京都弁護士協同組合

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