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もう一つの福岡飲酒死亡事故

“飲酒運転”追突され学生死亡

 

 

きょう未明、前原市でオートバイで新聞配達をしていた大学生が飲酒運転の男の乗用車に追突されて死亡し、警察は運転していた男を逮捕しました。
 きょう午前3時半ごろ、前原市荻浦の国道202号でバイクで新聞配達をしていた、前原市の大学2年生・青木佑太朗さん(20歳)さんが乗用車に追突されました。
 青木さんは病院に搬送されましたが、頭を強く打っていて、およそ1時間後に死亡しました。
 警察は乗用車を運転していた、福岡県二丈町の元・板金工・濱地達容疑者(34歳)の呼気から、アルコールが検出されたことから飲酒運転の現行犯で逮捕しました。
 調べに対し濱地容疑者は、福岡市内で酒を飲んだあと前原市に置いていた車で休憩した後車を運転していて、「気がついた時は間に合わなかった」と話しているということです。

 【2006/10/16 12:14RKB MAINICHI BROADCASTING CORP】

 

3人の幼児が死亡した、福岡海の中道大橋飲酒運転事件の控訴審が始まります。

あまり報道されませんでしたが、この事故とは別に、同じ福岡で飲酒死亡事故

(以下 別件事例 といいます)が起きていました。

事故の概要は、飲酒運転の車両が時速116キロメートルの速度で、

新聞配達のアルバイト大学生に追突させ死亡に至らしめたものです。

 

事故の概要について以下に記します。

  海の中道大橋事例 別件事例
事故発生 2006年8月  2006年10月
運行経緯 ナンパ ナンパ
原  因 脇見 脇見(携帯使用)
制限速度 40km/h 40km/h
速  度 80~100km/h 116km/h
アルコール  0.25mg 0.40mg
移動距離 300m 100m
事 故 後 水を摂取 茶を摂取
救護措置 無し  無し
任意保険 加入 未加入

 

事故の態様のみならず、事故に至る経緯まで、両者が酷似していることが判ります。

 

速度・原因・アルコール量を見た場合、

別件事例の方が、悪質性は高いとさえいえます。

 

では、ここで刑事裁判の経過を見てみましょう。

  海の中道大橋事例 別件事例
起  訴 危険運転致死傷罪 業務上過失致死傷罪
求  刑 25年 5年
一審判決  7年6ヶ月 3年6ヶ月
裁判日数 501日 105日

 

 両者の違いは歴然です。

 

このようなことを書くと、警察の捜査が杜撰だったのでは・・・・と

真っ先に考える御仁もおられますが、決してそうではありません。

 

福岡県警は、僅か数ミリの傷すら見落とさず写真に記録し、極めて精緻な捜査を行っていました。

 

まさに福岡の威信をかけ、検証・鑑識の鏡ともいえる極めて優秀な捜査だったのです。

 

ではなぜ、このような違いが出たのか?

これに対して明確な答えは出せません。

 

敢えて、この理由を類推するとすれば、

失われた命の数のみならず、別件事例加害者の特殊事情と行政タブーでしょう。

 

その特殊事情は同情に値しますが、事故の原因には何も寄与してません。

 

また、その事情があったからといって、加害者の行為は赦されるものではありません。

 

確かに、失われた命は「海の中道大橋事例」の方が多く、死亡したのが幼児であることを

加味すれば、社会に与えた心理的影響が大きいのは事実です。

 

しかし、別件事例でも、死亡した青年を愛おしんだ母親、

そして息子の成長を見守った父親はいます。

時間を共有した兄弟や友人もいますし、青年のことを愛した女性もいたことでしょう。

 

被害者の年齢を問わず、失われた命に貴賤はあってはなりません。

失われた命に対する悲しみに、優劣があってはならない筈です。

 

失われた子の命は、新しい命によって癒される事はあっても、その空虚を埋めることは出来ません。

 

しかしながら、この遺族は年齢的に、新しい命を授かることすらかなわないのです。

 

別件事例では任意保険未加入ですので、

民事で判決を取ろうと、被告が宝くじでも当てないことには、

損害が回復するとは到底考えられません。

 

無い袖は振れない(振らない)・・・

この現実の前では、所詮、民事訴訟の判決など単なる紙切れに過ぎないのです。

 

福岡海の中道大橋飲酒運転事件の高裁判決が出るまで、

失われた幼児達の命に報道が集中することでしょう。

 

この事件の陰に隠れて目立ちませんが、

同じ福岡でもう一つ失われた青年の命があったことを・・・・・

悲観に暮れる肉親が存在していることを・・・・・どうか忘れないで下さい。

 

2008/10/14

 

 

東京都弁護士協同組合

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